2022年12月25日日曜日

May your days be merry and bright

予約済みのクリスマスケーキがひっきりなしに手渡されている今日。

宗教にかかわらずこのクリスマスをイベントとして受け容れている日本だが、今年は祝う音楽が少ないような気がする。商店街ですらジングルベルをかきならしてきた昨今、今年はもう関心がほかに向いているよう。

宗教をもつに至らなかったが子供の頃からキリスト教が暮らしの近くにあった為、讃美歌が近くあったので、今日は自分で讃美歌弾き語り。体調も悪い母も起きてきて、二人のしゃがれ声、もといハスキーボイスでデュエット。

唄心おさまらず、ウィーン合唱団の讃美歌、シナトラとクロスビーのクリスマス・ソングのサイトを聴くことに。

I'm dreaming of a white Chiristmas.

ビング・クロスビーのヒット曲「ホワイトクリスマス」はロシア出身のバーリングがアメリカ滞在中に、雪のあるクリスマスを夢見て作ったとされている。

With every Chritsmas card I write

May you days be merry and bright

And may all your Christmases be white

今年も戦争が始まり、戦争は終わらない。本当は陽気に明るい日々を過ごしてほしいと思う人々がいるのに。あなたのクリスマスにいつも白い雪が降りますようにと願いをこめたロシア人もいたのに。

この心温まる旋律をきくたびに、明るい日々を皆で過ごしたいと、一緒に歌いたいと思う。


白いクリスマスではなく、緑、赤、橙と自然が用意してくれた祭典のような色。

2022年12月13日火曜日

手仕事 黒豆

まめまめしく。豆好きでよくつくる母の口癖だ。

その母が黒豆だけはいつも失敗するからと敬遠していたが今回はクックパッドのレシピを読み、終日浸水、二度焚きを守ってつくった結果、大成功。食欲がないのに、食欲を少しでも戻そうとチャレンジした努力が報いられ美しく艶やかな黒豆に。喜んで朝はヨーグルトに、夕は箸休めに少しずつ、でも着実に食べてくれるのが嬉しい。


黒豆のひと粒ずつに日の恵み

兵庫県篠山市で開催された川柳祭の最優秀賞に選ばれた酒井真由さんの作品だそうだ(丹波篠山市市長日記/HPから)。

2022年12月10日土曜日

師走の空 懐かしい人達

年賀状の準備、私自身はまだだが、喪中葉書で消息を知ることも。

今週は尊敬する二人の大先輩の喪中葉書をいただいた。何かあればご連絡しよう、ご報告しようと思っていられるのと、もう物理的にそうできないのと、なんと大きな違いか。不精な自分を後悔しても遅い。お二人とも気さくで優しい第一印象と裏腹に、実は個性的で、気骨のある、情熱の人でもあった。宮沢賢治ではないが「こういう人に私はなりたい」と憧れも抱いていた。自分にとって心星という思いがあった、文字通り地球を離れ星になられてしまった。

一方、同じく今週、もう会えないだろうと思っていた昔の中国市場営業で頼りにしていたビジネスパートナーと再会することができた。懐かしく、嬉しかった。相手が鎧う間もなく蜂のひと刺しができるこの人は、相も変わらず含羞を含んだ笑みでまわりをまきこみ、初対面の人々も含めて楽しいひとときを設けてくれた。

人に泣き、人に笑った一週間だった。


2022年12月4日日曜日

手仕事 赤蕪

駅にフリースペースがあって、時々面白いものが。

新幹線で朝採って運んでくると謳って14時頃から開く。安くはないが高くないものもあり、あまり見かけない野菜や果物もでることがあって駅を通る時にのぞくことも。その中でであった赤蕪。蕪本体も見事だったが、茎まで赤いのには驚いた。母が日干しにするという。日差しをいっぱいに浴びた様はエネルギーの源のよう。

半日干して、そのまま調味料とお酢につけてくれた。漬けるそばからお酢が薄紅色になっていく。食べる前に目で楽しんで。そして食べるときを心待ちにして。

冬は手仕事が似合う季節。


2022年12月3日土曜日

ピアノとおはなしのコンサート 高須千津代さんの音楽会

師走に入ったこの週、渋谷松濤のサロンにて。

ロベルト・シューマンの「献呈」に始まり、妻のクララ・シューマンの「ノットゥルノOp6-2」、そしてシューマンと同い年で親交のあったショパンの「ノクターン8番」「バラード2番」。同時代の音楽家の繋がりを前半の柱に据えた面白い企画。

一方、後半は新見南吉の「ごんぎつね」をウーロン亭ちゃ太郎さんの語りで、ロベルト・シューマンの「子供の情景」と共に。野心的な試みだ。

残念ながら仕事の都合で前半しか聞くことができなかったが、急き立てられるような日々の中でほっと一息できるひとときだった。


2022年11月29日火曜日

疲れた人は、暫し路傍の草に腰をおろして

道行く人を眺めるがよい。人は決してそう遠くへは行くまい。ツルゲーネフ

今の時代はそうはいえないだろう。人は遠くに行ける。ツルゲーネフの時代に考えたよりももっと遠くへ。


だが、そう遠くへは行っていない。そばにいる。そう思いたいのだ。

父が亡くなった月に。

2022年11月27日日曜日

晩秋のコンサート 汐留ホールのスタインウェイ

DUOポッキーズの彼女が会社で立ち上げたコンサート。今年は参加させていただけることに。

秋のコンサートとして毎年楽しみに伺っているイベントに、今年はビゼーの「こどものあそび」から5曲連弾と、ソロで「黒い蝶」マスネ、「夜想曲」ドビュッシーをご一緒に。とても音楽の喜びに満ち満ちた時間だった。

なんと冒頭はハープ独奏から。ヴァイオリンでバッハの無伴奏や、ピアノ連弾、独奏、ヴァイオリンソナタと多彩だ。皆 それぞれ本業がありながら、それぞれの人の分だけストーリーがあって、今ここで音楽が繋いだ縁で集まり演奏し聴き、一夜いろいろな音楽を共感する。

いただいたお花と白い蝶。この蝶はなんとDUOポッキーズの彼女からいただいたベルギーレースのお土産。この優美さ。普段殺伐としている私は、少しでもあやかりたいとピアノの横にいつも飾っている。

2022年11月23日水曜日

実りの時

収穫祭の季節。実りに感謝する時。

この時期は学生時代、奉仕の時間に林檎や蜜柑をもって讃美歌を歌いに行った。カナダに留学した時は近くの林檎園の手伝いにいったり、かぼちゃ祭りを冷やかしに行ったり。自分が収穫に資するまでの努力はしていないのに、それでもこの実りの時期にまわりの人達と祝う特別な時だと思っていた。

そんな季節の週末にDUOポッキーズの彼女と最終練習。練習の猛特訓は言わずもがな。そのあとのは収穫の時に敬意をしめして林檎酒と葡萄酒の新酒を。それにぴったりな彼女の手料理も、ルッコラとベーコンのスタミナサラダ、ブルーチーズとじゃがいもの雪のように真っ白に美しいサラダ、生ハムとマッシュルームのパスタ、鯵のローズマリー焼き。感謝祭だ。

 

彼女の庭のやわらかな椿の紅色と共に。

2022年11月3日木曜日

連弾特訓再び ビゼー 子供の遊びから5曲

今月の下旬にDuoポッキーズの友人から音楽会出演のお誘いが。

彼女が何年も続けてこられた多くの音楽活動の一つがこの音楽会。ある企業で有志の音楽会を立ち上げ、今もなお盛んに多くのメンバーが集う楽しいイベントだ。私も時々Duoポッキーズのご縁で参加させていただいている。

今年は夏に参加したコンクールで弾いた連弾曲「ぶらんこ」「回転木馬」「ラッパと太鼓」に加え「小さな旦那様、小さな奥様」「舞踏会」も弾くことに。これはまたド根性の特訓しかないでしょう。ということで彼女は国際学会から帰国後時間もあまり経っていない中、敢行。本番まで多分練習の機会が今回ともう一回しかとれないから、効率指向で。曲毎に目指すテンポを決めてしまう。流して弾いた時の曲のキャラクター分けの為に、「幸せブランコ」「移動遊園地の回転木馬」「おもちゃのマーチ ラッパと太鼓」「相思相愛の二重奏」「疾風怒濤になってしまうかもしれないけれど舞踏会のギャロップ」とキャッチフレーズも決めた。さあ、あとは合わせるだけだ。

最後の舞踏会はテンポも速く心配していたが特訓の終わりにはテンポについてはどうにか目途が。そうなると気分はポジティブ。「相思相愛の二重奏」もとい「小さなだんなさま、小さな奥様」は柔らかな旋律が本当に二人でDuetを歌っているようで美しく気分は更に絶好調。コンクールが迫っている訳ではないので、一緒に弾くこと自体が楽しい。

終わったら待ちに待った夕食会。スペイン産のロゼのカヴァで乾杯。ハロウイーンが近かったからか、カボチャのキャンドルにカボチャのホットサラダ。オランダの国際学会帰りに持ち帰られた大きなオランダ・チーズにナイフを入れ。秋のきのこのマリネにこちらもフレッシュなリンゴとゴルゴンゾーラのピザ、牛肉とマッシュポテトのオランダ料理 ヒュッツポット。

学会での発表の動画も先に見せていただいており、明瞭で美しい英語、ビジネスで培ったプレゼンテーション能力。こういう人に今まで以上に日本を発信していっていただきたいもの。学会の合間のイベント、終わってからの観光。美術館に博物館、それだけではなくバレエも観劇。写真を見せていただくだけで心躍る。やはり旅は、海を越える越えないにかかわらず、自分が行くか他の方の話をきくかいろいろあるが、心の滋養になる。



2022年10月23日日曜日

天才ピアニスト・ブーニン 9年の空白を超えて

NHKのドキュメンタリー 見るつもりがなかったのに全部見てしまった。

金曜の遅い時間だったので、心身ともに疲労の身には辛く、見ないつもりでいたのに、さわりだけとチャンネルをまわし、結局呆然と立ったまま1時間半聴いてしまっていた。

ショパンコンクールで華々しく日本でも名前が売れるようになったが、その時の演奏はあまり印象に残っていなかった。華麗なる円舞曲34-3の高速演奏は意表を衝いて、ライブで聴けば興奮させられたかもしれないが、ラジオを通して聴いた自分にはあまり響くものがなかった。同じショパンコンクールの演奏で、ラジオで聴いたツィメルマンには第一音から惹き込まれてしまったのと対照的だった。だから、特に興味をもってチャンネルをあわせることも、CDを買うこともなく過ぎていた。

今回NHKの予告編のタイトルで「9年の空白」とあり、何の空白?と少し気になったので見る気になったのだが、60歳に近いブーニンの痩せた姿に驚いた。左手が動かなくなり、次には足の骨折でペダルも踏めなくなるところを大手術と過酷なリハビリで歩けるようになったということも知らなかった。ドキュメンタリーの中で、もはや2時間のコンサートを全うできるコンサートピアニストではないと言っていた。それを認めるのはこの天才ピアニストには、長い時間と葛藤があったのだろう。

昨年「再会」としてコンサートを日本で開いたそうだ。自分が初めてのコンサートで弾いた、そして息子にもレッスンした曲を、左手と足が不自由な彼が身を削りながら練習していく。八ヶ岳のコンサートの模様が少し流れたが、思いを込めたとても印象的な演奏だった。コンサートピアニストではないと本人は言っているが、「かつての天才ブーニンが思い描くコンサート」ではないかもしれないが、艱難辛苦を経たピアニストが聴衆に語りかけ、琴線に触れる音を奏でる心に残るコンサートだったのではないかと思った。


2022年10月16日日曜日

母とiPadmini5

液晶の黒筋がとうとう2/3まできてしまい、我慢の限界。

使っていないからと知人からipadをもらって使い始めて数年。母はとても重宝していて、初めの頃はKindleで電子書籍も読んでいて、今は専ら検索に使っている。好奇心旺盛なのですぐにいろいろ調べ物もまめにしていたが、冒頭の通り液晶が壊れて読みづらくこの3か月ほどは手にとることもなくなった。

これでは折角の好奇心が勿体ない、と重い腰を上げて次機を探すことに。もう操作方法を新たに覚えるのは苦痛だろう。そして重いとそもそも手にとれなくなる。操作法があまりかわらず、今の機種より重くないipadmini、新品でなくていいが即整備に出すようでは困るので状態の良い中古がいい。

ところで今まで使っていた機種はipad何代目だったのだろう?調べてみるとipadmini2だった(今日現在最新機はipadmini6、2年に一度程度更新されているから8-10年前のもの)。結構使っていたのだった。そういえば今年になって母のも私のもipadminiでyoutubeが見られなくなっていた。ネットで調べたらもう古い機種では見られないそうだ。自分のを調べたら何度ipadmini初代だった!毎月のように海外出張にももっていき、落としたことも数度あるのに、液晶は無傷、動作はのろいが今でも頼りにしている。頑張っているのだなあと今更のように感謝の念がこみあげてきた。

さて、母の次機だが、ネットでスペックを整理し、量販店で実物を確認。ホームボタンがなくなっている最新機を除外し、結局一つ前のipadmini5の中古をnetで探し購入した。操作方法があまり変わらないのですぐに手にとってくれた。ほっと一安心。

私のipadmini初代は私のように古いもののまだまだ現役。暫くはそばにいてもらうつもり。

今年デュオポッキーズの友人にいただいた花の実。花は散ったが葉が元気なので水をあげていたら根っこまででて。いつの間にか実ができていたが、気が付いたらそれが赤く色づいてきている。小さい秋 みつけた。

2022年10月10日月曜日

黒い蝶 赤い蝶 音楽の縁

3連休は80年ぶりの寒さあり、コンサートあり、早朝ミーティングあり。盛り沢山。

ということであっという間に終わってしまった。今朝は北米で国際会議に出席の客と4時半からWEB会議。いつも北欧に住んでいるのだから北米出張時に会議する必要ないのにと思いながらも出席。2時間の予定が3時間。以前は月に一度は海外出張で時差にさらされていたのだが、今は体が日本時間に慣れているのでこたえる。

昨日は友人のコンサートへ。彼女はよく秋に開催する。寒くなってきて、陽が早く沈むようになり、人恋しくなるこ頃を見計らったかのように。予定があってもつい無理してでも、音楽会に行きたいという気持ちにさせる。

曲目はイヴェールで始まり、次は何とバッハ。と思えばリゲティ、ショパンと続く。彼女自身の作品をはさんで、アルベニス、ドビュッシーで終わった。特にご自身の作品「Mihanada wave」」が動きのある伸びやかな演奏で印象に残った。

デュオ・ポッキーズの友とも会場で会い、彼女の国際会議の成功を祝い、次の連弾の練習を約すことができた。また、今年マスネの「黒い蝶」を紀尾井で弾いた時に、「お疲れ様」と「赤い蝶」のワインを贈って下さった方ともお会いし近況を報告し合った。出不精の私だが音楽の縁のお蔭で自分だけでは望むべくもない触発をいただいている。


いただいた赤ワイン。食べて!歌って!愛して!の言葉が刻まれた素敵なワイン。大切に、美味しく、三連休でいただきました。

2022年10月1日土曜日

サイクリストの君と梅花亭

今日から10月。9月は毎年の如く期末対応と人事異動に伴う歓送会であっという間に終わり。

加えて一年に一度位お会いする仕事が縁の知合達との飲み会も。顔を合わせたのは5-6年前だが、人伝手に仕事ができると噂だけはよく聞いていて20年位知っているような気になる相手だ。年に一度だと会う度に仕事やプライヴェートも環境変化していて、話し始めてから2時間位はお互いの報告だけで終わってしまう。

そのうちの一人は今サイクリングといっても本式だがにはまっていて、何とこの飲み会の翌日も600km走るという。それで完走できれば23年フランスでのレースの出場権を得られるらしい。開いた口がふさがらないとはこのこと。翌日(1日ではなく時間が決まっているらしい)に600km走るのに飲み会OKする?そしてこれだけ食べて飲んで大丈夫?

聞きたいことが山ほど。もう一人の相手と「凄いと思うけれど、やっぱりそこまでやるのは変!?」と言って盛り上がった。

帰りに神楽坂梅花亭の最中をいただいた。ご家族にと。600kmを走るサイクリストは心遣いも細やか。いろいろ公私ともに苦労されている方の心配りには、馬齢を重ねるだけの私ではいつまで経っても追いつくことはできない。


2022年9月25日日曜日

杉並公会堂のベーゼンドルファー 紀尾井ホールのスタインウェイ

この夏は名ホール・名器に触れる機会があった。季節が終わるのが名残惜しい。

40歳過ぎてからチャレンジを始めたアマチュアコンクールのお蔭で、今年はこの2つの素晴らしいピアノを弾くことができた。

杉並公会堂のベーゼンドルファーは、一次予選、二次予選とここが指定されているので、応募している限りは毎年弾く。そのたびにいろいろな感慨がある。「ベーゼンは特に低音の響きが良い」との予見があるので、自分が弾いてみると思ったよりもタッチは軽く、音も大きく響き、弱音が綺麗に出ないのではないかと心配になる。しかし後で録音で聴いてみると、「これが私が出した音?」と思う程、デリケートな弱音と、豊かなバスの響きに痺れてしまうのである。一番鮮明に覚えているのは、ドビュッシーの「雨の庭」を弾いた時のこと。なんと透明感のある美しい音が聞こえてくるのだろう、と演奏する自分と聴き惚れる自分が遊離した感をもった。こんなピアノは初めてだった。

紀尾井ホールのスタインウェイは、他のコンテスタントが弾くのを先に聴き、何と美しく響くのかとうっとりした。一方で、自分のようにペダリングに課題がある者は、上手くコントロールしないと響き過ぎて全部滲み絵のように聴こえてしまいそうだと懸念した。二曲弾くうちの最初の曲は硬質な音色で弾きたかったので、上手くできていない状態で賭けだが、ある部分はハーフペダルに、ある部分はフィンガーペダル(ダンパーペダルは踏まない)に本番でしてみた。二曲目は逆にいつものとおりのペダリングにした。ペダリングが結果どう聴こえたかは、弾いている本人にはわからないが、華やかな音、クリスタルのように繊細に響く音がホールの威力で倍増されているのは感じることができた。

望外にいただいた機会、この夏の忘れ難い思い出だ。



2022年9月24日土曜日

青柳いづみこ氏 安川加壽子生誕100年に寄せて

嵐の中コンサートに行ってきた。

安川先生のお弟子さん達の発表会のプログラムから選ばれた曲目。ドビュッシー、クープランといったよく知った曲から、バロー、マレ、カゼッラは全く知らなかった。知らない曲を聴くことができるとそれだけ世界が広がるような気がして心躍る。プーランクの「村物語」は劇を見ているようで活き活きと、ピエルネの「愛しい人たちへのアルバム」は懐かしい気持ちにさせる小曲集。

最後に青柳氏が義姉を亡くされてから弾くようになったというシューベルトの即興曲集から3曲。フランス音楽、とりわけドビュッシーの専門家とされるこの方がシューベルト?と驚いたものの、曲が始まるとただただ惹き込まれた。衒いもなく内省的で、ピアノを使って歌っているようだった。バスの響きの良いこと。メロティのピアノが優しいこと。気がつくと涙を流していた。何が響いてそうなったのか分析しようとしてやめた。とてもいい演奏だったということだ。



2022年9月19日月曜日

Kapellを聴きながら ショパン ソナタ2番 3番他

各地 荒れた三連休だった。

少ないものの国内客の工場に台風の被害がないか、大雨の中国や地震の台湾で客先に影響がないかヒアリングしてもらったり、九州の親戚の状況を確認したりであっという間にもう最終日。

東京はハリケーンのような横殴りの雨かと思えば、狐の嫁入りのようなお天気雨だったり落ち着かない。こんな日はと網戸の掃除をするしかない。マンションはベランダ掃除にも下の階の人に気を遣うが、これだけの雨なら少々の網戸の水の跳ね返りも気が付かないのではと。

気張ってやり始めていると、久しぶりに友人からLINEが。「今 NHKFMでウィリアム・カペルの演奏やってます。」急いでつけると耳に飛び込んできた。彼女のチャットが続き、同時代に同じく夭逝したリパッティも思いだしながら、お互い朝から良い演奏を楽しんだ。

網戸掃除も漸く終わり。身体も動けなくなるくらい汗もかき、暫し休憩。いただいたKapellのソナタ集をかけてみる。一枚ずつ聴いていくのが楽しみで今回は二枚目。ショパンの3番、2番、途中にワルツやノクターンがはさまって音楽会のような構成だ。そのあとはメンデルスゾーン「羊飼いの嘆き」、シューマン「ロマンス」、モーツアルトのソナタ16番。ショパンのソナタもいいが、小品がいい。「自分の弾き方」を聴衆に喧伝するピアニストが多い中、内省的で押し付けない弾き方は耳にすっと入ってくる。

いい音楽を聴き、それを友とも分かち合えるとは幸せなことだ。


2022年9月11日日曜日

フランス音楽講座 「夜想曲」「サルタレッロ」マスネ

スタイルとリズムの為の練習曲から二曲もっていった。

今日は聴講が多く、弾く人が少ないので緊張して臨んだ。小品だが、夜想曲は「珠玉の」との修飾語に値する美しい曲。サルタレッロは中世のイタリアの舞曲で、小さな跳躍が特徴。早くて指がひきつるが運動性とマスネのメロディーが合わさると不思議に忘れ難い一品となる。

フランス音楽講座なのだが、今日受講生が弾いたブラームス「6つのピアノ小品」から#1と#2曲が秀逸で、今も耳に残る。冒頭から心をわしづかみにするメロディーに引き込まれ、もの哀しい雰囲気を抱いて終わる。脈絡もなく、季節の移り変わりを意識し、ああ、もう秋なんだ、と思った。

この他、20年前の受講生の方がたまたまドイツから里帰りで参加。飛び入りで、先生と連弾。ビゼーやスクリャービンを初見で弾かれ、先生と即興でのセッションに皆大興奮。こんな贅沢があるなんて。いろいろ辛いことがあっても、時におもいがけず、こんなボーナスがあるから、生きていけるんだなあと思うほど音の喜びに酔った時間だった。



2022年9月4日日曜日

今日のひと日の紅

気がついたら9月だった。

長月の 今日のひと日の 紅を恋ふ 池内友次郎

デュオ・ポッキーズの友人からいただいたこけしのハンカチーフと「こけしみるく」という「釜人鉢の木」さんのお菓子。今年は二人でいろいろなところで弾きましたね。あるコンクールでは地方本選まで。優秀賞もいただいた。一生懸命やったら2人で弾いたのに3人分位頑張れたかも。楽しかった酷暑のトレーニングを讃え合い、彼女が欧州の学会から帰ってきたらお疲れ様会をすることを約した。


2022年8月21日日曜日

フランス音楽講座 ドビュッシー「夜想曲」再び

先月は休んだので一か月ぶりの参加。

今回もまるでマルチプレーヤーによるコンサートのように多彩な曲目だった。面白かったのはオーケストラ曲のピアノ編曲版が多かったこと(その逆もあり)。グリーグのペールギュントから「オーゼの死」「山の魔王の宮殿にて」、ストラヴィンスキー火の鳥から「子守唄」、ワーグナー/リストで「イゾルデの愛の死」。聴いている方は、ただただ楽しい。参加しているだけで思いもかけない種類の曲が聴けて、まるでお祭りだ。

弾く方はオーケストラの各パートの弾き分けが難しいだろう。金管なら輝かしく、木管なら温かく時々ユーモラスに、弦は弦で主張するヴァイオリン、チェロに、寄り添うヴィオラ、支えるバス。

先生のご指摘や解説もライブ感高まり。

講座の狭い一室で、オペラの音楽堂で一晩過ごしたかのような心地よい疲れを感じ終わった。


ひかりある
そらはしずかに
ただひとつ
あさがおのさく

八木重吉


2022年8月13日土曜日

William Kapell ショパン マズルカ

このピアニストご存じだろうか。

私は全く知らなかった。今回CD全集をいただくまで。

アメリカ人で31歳で夭折したという。ネットで調べてみるといろいろな人がコメントを書いているが、大体含まれる形容詞は「天才」「比類ないテクニック」「峻厳」「美しい抒情性」「成熟」と言った、ピアニストならこう表現して欲しいだろう言葉が連なっている。

1枚目のショパン・マズルカ集を聴く。とても自然に耳に入ってくる。弾いてやるぞ、聴かせてやるぞちう力みが全くなく、自分の曲を弾いている感じ。

CDのプログラムノートを見ると、カペルは用意周到に準備するピアニストだったそうで、ただショパンのマズルカに対しては、譜読みしながらまわりの人に弾いてきかせるといった、音の自由を楽しんでいたそうだ。これは凄い。ポーランドの民族音楽が身体の中にしみこんでいる人でないと、この独特なリズムに泣かされる。意識しすぎてマズルカの型から入る人、意識しなさすぎてワルツになってしまう人もプロですら多い。まるで自分が作曲者のような即興性すら感じる演奏に驚き。

それでは、準備を重ねた曲はどんな風に弾くのだろう?これは一枚ずつゆっくりと楽しんで聴かせていただこう。


写真はCDの全集から(BMG社)借用

2022年8月11日木曜日

海景

今日は山の日の祝日だが、海景の話。

友人が今年も丹精込めて作ったじゃがいもを送ってきてくれた。中にはゴッホの絵葉書が添えられて。初めて見る絵だった。


「サント・マリー・ド・ラメールの海景」。

白波に、海は青かったり緑だったり、オパールのような色合いが美しい。丁度、まだ練習しているドビュッシーの「夜想曲」の冒頭のイメージにぴったりな情景だ。ピアノの近くの壁に貼って毎日眺めながら、どうやったらこんな風に光や影、色の変化を「自然に」表現できるのか考えている。

見ていると波音まで聞こえて涼しくなりそうなものだが、そこまでは流石に想像に身を任せられず酷暑は厳しい。

いただいたじゃがいもの方は。生のじゃがいもをそのまま嗅ぐと青臭い。地面からとってきたばかりなのが分かる。できるだけ手を加えずに味わいたい。2個は茹でて湯気ができているものに塩を振ってそのままいただく。バターを添えれば、それだけで幸せ。庭のローズマリーを切ってきてオリーブオイルで黄金色にカリッと焼けば、酷暑も乗り越えられそうな位、身体に英気が漲ってくる。有り難い夏の贈り物を堪能した。

2022年7月24日日曜日

酷暑にありて

有難きもの。そは薬味。

私自身は食欲落ちる間もないが、母はどうしても暑さが酷いと水を飲むのがやっとという時が増える。そんな時、冷たい冷奴に山盛りの薬味を。

青々とした紫蘇、真っ赤に染まった我が家の茗荷の酢漬け。生命力あふるる緑葱の小口切に、薄いアースカラーの新生姜のみじん切りを。仕上げにこれもまた母が漬けた南高梅の梅をつぶしてのせれば出来上がり。


青紫蘇にも茗荷の子にも恩多し 安住敦

2022年7月23日土曜日

アポロのピアノ@エプタ・ザール DUOポッキーズ

今日は狛江のエプタ・ザールでアポロのピアノを弾いてきた。

DUOポッキーズでビゼーの「子供のあそび」から「ぶらんこ」「回転木馬」の曲目。

アポロは国産のピアノメーカー。私が初めて4歳の時に両親にアプライトを買ってもらってから、40年以上も共にいたピアノもアポロだった、だから久しぶりにホールで弾くアポロは、グランドピアノとは言え、旧友に会ったような懐かしさを感じた。

よく響くピアノで、それだけに低音をこまめにペダルを変えなければならず、初めの数小節は苦労した。そのあとは伸びやかな音を楽しんだ。

友人と弾く喜び。昨日も仕事のあと友人宅に寄り、夜の特訓。GWに初めてもちよってから、3人の先生にみていただき、息も切らせぬスポコンの練習もしたし。「ぶらんこ」は曲想も変えた。子供の頃、軽い体でぶんぶん漕いでいた頃を思い出して。空に向かって飛び込んでいくような、一番頂上まできたら青い海が見えて心が興奮で震えた、そういった曲にしようと話し合った。

特訓が終われば、また友人の手料理の美味に舌鼓。先生にならってコンサートの前は肉料理でしょ、と 焼きたての豚肉を山盛りの香ばしいルッコラに豪勢に盛り、オリーブオイル醤油を垂らした心憎いメイン。ジャズリンゴ、セロリ、クルミに鶏肉のウォルドルフサラダ。枝豆のアヒージョ。これだけ美味しいお肉をいただけば連弾 上手くいかないはずはない!とおだをあげて味の濃いスペインの白ワインで本番前の祝杯。


食卓に飾られていた蔓花茄子。お土産にいただいた。花言葉は「大きな恵み」
今日は存分に連弾を楽しむことができた。これこそが「大きな恵み」に違いない。

2022年7月18日月曜日

言葉と音楽と 香りと色と

「ことばと音楽はちがう?」

昨日の日経夕刊にピアニスト仲道郁代さんのエッセイが。

「音の連なりが与える感覚をことばにし、ことばのイメージを音にする。その往還をしていると、ことばの想起させるイメージと音のイメージが同化してくる。」

分かるような気がする。まだまだ拙いかもしれないが、楽譜を読んで、弾いてみて。その曲の感覚を言葉にしてみる。そうするとイメージが先鋭化する。

未だ気がついていない慕情が、やがて自分の中で秘められた想いとして認識され、恋心として内から外に迸る時に謳うソプラノのメロディー。たとえばこう感じたと言葉に置き換えたら。慕情というやらわかな感情。秘められた想いにはいきつ戻りつする惑いや迷い、高揚感に自信のなさも加わるかも。そのうち緊張感が高まり外に出ざるを得なくなる時の自分の心の中のドラマ。

その時に香る空気。湿度。乾燥。色は?♭は青系統?♯は暖色系?和声で色も変わっていく?

自分の中で曲に想起された感触に様々なラベルを貼ってみる。違ったら弾きなおして、ラベルを貼りなおして。

多分多くのプロ/アマのピアニストがしていることだろう。仲道さんのエッセイはとても分かり易く、自分なら・・・とそれぞれの工夫を言葉を使って思考に見える化してくれる。

音楽と文学と。二兎を追える方の刺激的な文章に出会えて、ラッキーな三連休最終日。

2022年7月17日日曜日

漸く繋がる

ここ1か月ほど家の通信状況が悪かったが、解決?

マンションの光回線か、ルーターの故障か、判じかねながら手をこまねいていた。

会社のPCは会社携帯でテザリング、家のPCは個人携帯で同様にしてどうにか繋いでいたが、どうも家のPCは携帯の速度が遅いのか、メールも翌日に届いたり、google関連はアプリすら起動しなかったりで使い物にならなかった。

今日は3連休の中日で気持ちと時間に余裕があり、朝から光回線とルーターの会社に各々電話して、一つずつ可能性をつぶしていった。結局どちらの会社も相手の状況が悪いという結論に達し、解決策が見いだせずに振り出しに戻った時。何故か繋がった。

回線会社もルーター会社も言っていることが異なり、これといった因果を解明できなかったものの、とりあえず使えるようになって本日の苦労は本日にて足れり。今日はここまでで満足することとした。

今後また同じ状態になった時に、今回の解決(何が解決したのかわからない)は再現性がなくく困ったもので、仕事であればそれでも掘り下げて防止対策ができるまで「終わった」ことにしないのだが、暑いし、被害を被るのは自分だし、ま いっか。

暫く前に、KDDIの接続不良で、個人と企業への被害が大きな問題となった。本当に、電気、下水道、電車といった旧来のインフラに加え、通信事業は生活や仕事に不可欠な社会基盤になったのだと実感。


近くの公園は今 蓮の花が満開。雨が降ったあと、撥水性が高いのか、花にも葉にも水玉がころころところがっている。

新盆のこの季節、父も四季折々の季節を撮りに、カメラで重くなったリュックを背負って公園に通っていたことを思い出す。一緒に行って、一緒に写真を撮ったら喜んでくれたのではないだろうか。

私自身は若い時は休みも休めず、趣味に時間を割く、目を転じて四季の移り変わりに目をとめるという時間すらなかった。一途に仕事をしてきたことに後悔はないけれど、もう一度その時代に戻れるならば。この蓮のように、雨の中、雨を弾き飛ばしてしまうでもなく、受け容れて、同化せず、しなやかに自分と家族の生活を守っていくことにチャレンジしていたかもしれない。

2022年7月3日日曜日

勉強会

キャリアコンサルタント実技対策

以前の勉強会の仲間の後輩から模擬試験練習の依頼がかかり参加。自分の勉強にもなるのでケースを3件作成しクライアント役を。自分の技に磨きがかかっているわけではなく、当事者でないとよくコンサルティングの進め方の良し悪しが客観的に良く見えるものだと実感。三時間の勉強会は実行 評価と休みなく行いあっという間に終了。


今日から海開きの海辺も多い。こちらは15年ほど前にいただいた長崎おくんちの手拭い。さて、梅雨も明け、夏本番である。

2022年6月26日日曜日

中野ハーモニーホール


このホールにはベーゼンドルファーがある。

このピアノでビゼーの連弾を楽しんできた。練習の時より速度をあげてブランコや回転木馬のスピード感に重きを置いて演奏。曲のキャラクターを今までより際立たせられていたら嬉しい。

直前には3年ぶりに連弾相手の友人が師事する先生にも見ていただき、一流のオーケストラの団員らしいダイナミクスや音の色彩に関してとことんご指導もいただいた。百分の一でも実行できるようになりたい。

練習の帰り、友人の家に咲いていたという紫陽花をいただいた。この暑さにも負けず、鮮やかな色で涼を運んでくれる。

2022年6月12日日曜日

連弾と紫陽花と

地元の楽器店でのコンサートに参加。

コロナになってから自粛していたが今年は参加してみることに。聴衆の前に、やはり緊張。だが、始まってしまえば弾くしかない。ビゼーの子供の遊びから三曲、楽しむことに専念。

その後は友人が近くの寺に紫陽花が咲いていると導かれて、思いがけない散歩。


緑深い巨木の下にひっそりと色とりどりの紫陽花が咲き乱れ息を呑む景色だった。中でもこの白い色は夕方の樹木の陰でひんやりとした質感が印象的だった。


2022年6月4日土曜日

連弾特訓再び

 そろそろ本番も近づき。

友人宅で再度猛特訓。だいぶテンポも上げられるようになり雰囲気も出てきた。細かいところを見ていく。スタカートの切り方を合わせたりフレーズを確かめたり。

終わったらまたお楽しみの時間。友人の心尽くしの和食。今回は幾つもお祝い事もありシャンパンフルボトルで。会話もいつ果てることもない。


友人から数年前に分けていただいたローズゼラニウム。今や縦横無尽に咲き乱れている。私達の連弾も時をかけ、会話や練習を重ねてそれを肥やしに深まるといいなと願う。




2022年5月21日土曜日

食欲が進むなら

何でもしたい。

いえ、自分のことでは全くなく・・・。でも、誰でも家族が食欲がない時にはそう思うでしょう。

GWにデュオ・ポッキーズの友人宅で美味しい低温発酵の自家製フォッカッチャを御馳走になり、あまりに美味しいので母に食べさせたいとつくってみた。あまりこねなくて良いようで、自分にもできるのではないかと、つい夢見てしまった。友人が見せてくれたとおり、くるみもたっぷり入れ、ついでに庭のローズマリーも載せて、たっぷりのオリーブオイルをかけて焼いたら、とても美味しかった。だが、母には堅すぎて残念ながら少ししか食べられず。

そこで火がついた。保存料が入っているパンよりずっと美味しいねという言葉を頼りに、十年位つくっていなかった万頭(中華のまんとう)をつくった。500gだけしか作らなかったが、全身汗だくで、涼しい日だったのにサウナ状態。途中で鉢巻をし、まるで恰好だけはランナー。手には粉が粘って離れない。泣きそうになりながら、意地と新しいイースで、きれいに膨らみ、真っ白でほかほか、「THE 万頭」ができた。味噌をつけるとたまらない。母も1個完食してくれた。

ここまできたら、実力はないのに何とかなるさの自信だけはついてしまい。次も行ってしまえ。

今日は梅雨の先駆けか、じめじめした天気。こんな日は野菜で元気になりたい。白い大根、緑のキュウリ、赤いラディッシュでピクルス作り。明日のお楽しみ。かりっ、しゃくっ、ぽりっと気持ちいい音。酢の爽やかさと柔らかさが食欲を運んでくれることを期待して。


2022年5月15日日曜日

対面が戻りつつある

GW明けの週。

ただでさえ、休みを取り戻そうと皆が一斉に仕事を投げ合う中を、自分も急いで投げ返すか競争のような週なのに、久しぶりに海外客の来日対応あり、海外のビジネスパートナーの来社あり、出張していた関係先との懇親会あり。WEB会議ではなくリアル会議や飲み会が立て続けで、過密スケジュールと対面の刺激で疲れ果て、金曜の夜は倒れ込んで泥のように眠った。

私自身はこの3年振り返り、テレワークの有難味を痛感している。人に会うのも、会議をするのも、距離や会議室を気にすることなくすぐに設定・実行できる。特に海外の客や、複数の工場・部門にまたがっての会議でその恩恵は大きい。

一方、初対面の人がWEB会議でうちとける、相手の顔色を読めるまでになるには、対面の時よりもはるかに長い時間がかかるというのも実感だ。お互いできるだけ分かり易く説明するように気を付けるようになったし、顔出しの会議ならジェスチャーを大きくし、コミュニケーションの質を補おうとしてきて、改善できていると思う。だが、目の中に動いた何かの表情、無意識にでている身体のサインなど、それを捉えることで話を深堀りしてきた対面での打ち合わせは何と情報が多かったことかとあらためて意義も見えてきた。

入社した時の上司と食事をする機会があった。2年ぶりだろうか。年齢の差にかかわらず誰に対しても丁寧な言葉遣い、気の使い方をなさる方で、初めてお会いした時から理想の社会人像である。茶目っ気もおありで、時折目の奥がきらっとする時は何か面


白いことを思いつかれた時。指を組んで前に乗り出す時は真剣な話をなさる時。懐かしい仕草や表情に、ああ、やっぱり対面してお話しできる醍醐味がここにある、と思った。

2022年5月14日土曜日

フランス音楽講座 ドビュッシー 「ノクターン」

月に一度のフランス音楽講座。

今回はドビュッシーの「ノクターン」をもっていった。まだドビュッシー若かりし時の作曲なので、長いフレーズでメロディーが歌い易い。うっとりとさせる和音は彼の音楽学校の先生でもあったフォーレのこれまた初期の作品を想起させるものだし、徐々に盛り上がってくるところは、ドビュッシーが若い頃傾倒したと言われるワーグナー的な部分も。

自分探しをしていろいろと寄り道をしてきた時期とみるか、資金繰りの為にお金を出してもらい易い音楽を作ったと考えるべきか。そのどちらでもあるのだろう。だが、どちらであってもそんなことはどうでもよく、誰にでも美しく聞こえ、自分が若い頃、「憧れ」という感情を豊かにもっていた頃を思い出す、やさしい曲であることに変わりはない。


2022年5月8日日曜日

呼ばれる

今日は母の日。

友人からLINEでお互いの母の無事を確かめる便りをいただいた。彼女は高校時代からのつきあい。お互いの母達も顔見知りだ。

暫く前の日経に井上荒野氏のエッセイが確か夕刊に掲載された。「呼ばれる」というタイトルだったような。

はじめにご主人が食事をつくってくれるという垂涎もののネタから入る。それだけなら単なる夫自慢の話なのだが、そのあとに続く文脈がその浅はかな想定を裏切る。

食事をつくってくれる人がいて、食事ですよと自分を呼んでくれるその声掛けは、子供の頃であれば母の声であることが多い。

誰かのために食事をつくり、その人を呼ぶ。それはとても自然で、いつも呼んでくれると思い込んでいて。でもいつまでも得られる声ではなく、懐かしくとも一度失われたら戻らない声。

今日は母の日。


2022年5月5日木曜日

GWも終わり キャリアコンサルティング受講 JOB-TAG と アセスメント

結構今年は休めてほっとしている。

思っていたより業務分担変更による引継ぎがこの一か月とてもきつく、ヘロヘロに倒れ込むように突入したGWだっだ。休みの前半二日はキャリアコンサルティングの講座受講の予習復習に時間がとられてしまったが、昨日と今日は朝から、お風呂や玄関など普段気になりながらできなかった部分の掃除、毛布やカーテンの洗濯と家のこともいろいろできた。身体を使って頭はからっぽにし、疲れたら休み。心身共にリフレッシュできた。

前半の二日の講座はそれぞれ別内容のもの。一日目は「job-tag」の活用について。

これは厚労省が提供する職業情報提供サイトjob-tag

職業を探す側、採用する側、キャリア探索を支援する側、といろいろな立場の人が活用できる。職業探索や産業情報入手から、能力棚卸しもツールを活用してできる。折角厚労省がお金を使って整備してくれているのだから、活用しない手はない。実際のコンサルティングの場での活用についてケーススタディをする興味深い内容だった。

二日目の「アセスメント」は、養成講座でも勉強したが、心理や職業興味検査のようにフォーマルなものから、カードを使ったグループディスカッションのようなインフォーマルなものも対象で、こちらも一日で5回模擬面談を行い、クライアント、コンサルタント、オブザーバーをそれぞれ経験できた。実地研修なのでライブで質問や返答ひとつで思わぬ方向に面談が進むこともあり、はらはらどきどき、言い換えれば一瞬も気を抜くことができずに瞬く間に時間が進んだ。実ビジネスではキャリアコンサルティングを行っていないので、経験がどうしても不足しておりこういう機会は貴重だ。

今日は子供の日。菖蒲湯にするのか、葉を買い求める人多く、季節を感じた。

2022年5月4日水曜日

2022連弾 キックオフ

GW後半のはじまり。まだ気持ちの余裕があるうちに。

デュオポッキーズの彼女と連弾の練習第一弾。あらためて会って話してみると、最後に連弾をしてから2年スキップしていて3年ぶり。

今年は前々からやりたいねと話していたビゼーの「子供の遊び」から。「ブランコ」「回転木馬」「ラッパと太鼓」。余力があれば最終局の「舞踏会」を弾く予定。早速3曲を練習することに。

はじめの通しは二人とも慎重になり、ゆっくり弾きすぎて何を弾いているかわらかなくなってしまった。苦笑い。私達らしくないんじゃない?ということで、まだまだ弾けないのが当たり前と開き直って、今度はインテンポで。少し早く弾いてみようかではなく、いきなりこの速度まで飛んでしまうのが「私達らしい」。今度は音も派手に飛んでしまったが、それでも流れはつかめ、しかもどうにか落ちずに最後までいき、なにやらひと仕事なし終えた充実した気分に。

そこからは練習に没頭し、小休止もなくひたすら2時間練習した。「24時間戦えますか」の時代に働きぬいた私達。ピアノの練習だって小休止を挟むなんてことは頭をかすりもせず、お互い褒めたたえあいながら、ポジティブシンキングでひた走った。

ひととおり目途がついた時には夕焼けが空を染め。これまたお互いにひと呼吸しただけで練習終わりと暗黙の了解。

彼女が用意してくれた食事を温めてくれるいい香り。スパークリンをポンッと開ける景気の良い音。庭の花々を活けた花瓶。全てお手製の料理の品々。焼きたての低温発酵のパン、オイルサーディンとサラダ春菊のサラダ。鯵とエシャロットのバターディップ。白い鶏肉と赤紫の大粒のレーズンが橙色のニンジンに映えラペ。ハイドンも好物だったというあつあつのエスターハージ・ローストブラーテン。

やっぱり対面、いいね。顔をみながら、一緒に湯気のたつ美味を分け合って語りあうと時を忘れてしまう。彼女の最近の学術活動をお聞きしたり、自分の仕事のことを聞いていただいたり。時間はあっという間に過ぎてゆく。

2022年4月30日土曜日

2022年4月24日日曜日

2か月経って

ウクライナ侵攻から今日で丁度2か月経った。

毎日ニュースに流れ、野球解説のようにアメリカが、EUが、日本のマスコミが実況中継を行う。それを見ている世界中の人達。そして自分。寄付位はしてもテレビやPCのこちら側でみている人達の一部である。コマーシャルになってしまえば飽食の日本の現実に簡単に切り替わる。

初めてウクライナを観たのは多分、小学生の頃、両親が見ていたテレビの洋画劇場で「ひまわり」が放映された時(写真はAMAZONより借用)。このひまわり畑はウクライナで撮影されたそうだ。ウクライナ大使館

勝手に盗み見たのと、子供だったのでストーリーはよく覚えていないのだが、第二次世界大戦に引き裂かれた若い夫婦の物語で、ソフイア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニが演じ、子供心にはよくわからないものの理不尽さ、絶望を感じ取って眠れなくなったことを思い出す。音楽が心に迫り、今でも時折弾くことがある。


屋根の上のヴァイオリン弾きもウクライナに関わっていると知ったのは、私がよく立ち寄らせていただく「大屋地爵士(オヤジジャズ)」さんのHP。読んで、曲を聴いて。こういう「表現」で戦争の無残さを共有するということをあらためて感じた。
屋根の上のヴァイオリン弾き

最後に、これ程悲惨な状況になると思わなかった頃放映された、いつも観ている音楽番組。

ナターシャ・グジー

BGMで作業しながら聴いていたが、伸びやかな歌声に驚いて思わず座って聴いてしまった。楽器はバンドーラという弦楽器。録画していた時は彼女も短期間にこのような状況になるとは思ってもいなかったろう。この美しい歌声が自由に祖国で響く時がくることを願いつつ、せめて今はコンサート等で支援したいと思う。

2022年4月23日土曜日

茉莉花

ピアノのレッスンへ。

ギリギリまで練習する泥縄ライフスタイルあらたまらず。またレッスンの時間に遅れそうになり足早に歩く。一心不乱に歩いていると、いい香り・・・。通り過ぎた路を振り返ると、そこにはアイヴォリーの花々が。そう。ジャスミンだ。

香りを形容する語彙に乏しく、ただ、心奪われるジャスミンの芳しい香りとしかいえない。

茉莉花を拾ひたる手もまた匂ふ 加藤楸邨

2022年4月17日日曜日

フランス音楽講座 弾きあい会

 一回休んだフランス音楽講座。次回出席すると弾きあい会をすることになっていた。

15年?位通っているが、こんなノリで弾きあい会になったのは初めてで、しかも実行確認した翌月だ。何をもっていこう?

といっても練習している曲が少ないので選択肢はなく、今練習しているドビュッシーの夜想曲しかない。暗譜もしていない。

でも、先生が「やってみましょ」と軽くおっしゃっただけで、やってみよう!というこのノリはなんだか楽しい。結局殆どの受講生が手を挙げて参加することに。

ここまではいいが、こんな短期間で実行面はどうする?

ここでデュオ・ポッキーズの友人が運営面を指揮してくれ、一糸乱れぬことなく、実現へ!自然と受講生の中から、彼女への感謝の気持ちを表したいという声が沸き起こったほど。

弾きあい会は刺激的だった。先生に講評をいただく講座もとても貴重だけれど、コンサート形式でただ聴いてもらいたいと一心に弾いて、先生や受講生にその表現が届いたか弾いたあとの表情から自分でその講評を読み取るのも新鮮だ。

ビゼーやサン=サーンス、セヴラックの連弾。ショパンにラヴェル、ドビュッシー。普段は聞けないような曲目、自分で編曲したトリオ。誰が言った訳でもないのに。先生の薫陶か。今流行りの多様性、を絵に描いたような曲目。このままコンサートにしても、聴衆にわくわく感を提供できるだろう。

素敵な時間はあっという間。3時間ちょっとで終わり。

次回、こんな機会がある時の為、やっぱり練習しなきゃ。

2022年4月16日土曜日

不敵な面構え

今週はしんどかった。

昨日は青柳先生の音楽会に行くつもりが、仕事で緊急のサンプル手配の技術会議でおじゃん。引継ぎをしようとしていたのに、自分のアカウントの材料紐付けが実は減っていることが判明し大騒ぎ。梯子外しに立ち直れず。プライヴェートでも、春には早すぎる台風の影響か母の体調も悪く、どうしてあげようもない。

母を心配して九州から叔父が送ってくれた柑橘類。デコポン、日向柑、オレンジなどなど。店に並んでいるものより小さいし見目も美しくはないが、この不敵な面構えを見よ!味は濃く、陽だまりのエネルギーを全て貯めたよう。食欲ない母も口に運ぶ。

自然の力はすごい。このエネルギーを身体に取り込んで欲しいもの。

2022年4月9日土曜日

デュオ ポッキーズ 始動

昨年は見送った連弾だが、今年はやるぞ!

キックオフを今週WEB会で決行。友人はZOOM上であらゆるテクを操り、エクセルとパワポで全体感、個別スケジューリング、YOUTUBEで曲選びまで課題や選択肢を説明。惚れ惚れするような手筈やプレゼン。何もしていない私なのに、何故か既に譜読みも練習も終わったかのように気分も高揚し、満場一致(二人だけれど)で曲目と今後の練習日程も決めた。もうこれだけで大満足(いやいや、練習はこれからなのだが)。

私自身は4月の人事異動で全く余裕なく、仕事の多忙を言い訳にソロの練習は疎かにしていたが、彼女の勉強に、仕事に、ピアノにと誠実に一つ一つ向かい合う姿に、思わず背筋伸ばして襟を正すしかない。


待ち焦がれていた金色の陽の光のようなミモザ。オーストラリアの国花、ナショナルカラーの「グリーン&ゴールド」もこのミモザからきているそうだ。但し、もともとはオーストラリア原産の「ワトル」が源。ワトルの一種が英国経由でイタリア、リヴィエラ、地中海岸地域に定着したらしい。

オーストラリアにも縁深い友人を想起させる花。華やかで豊か。花言葉は「感謝」「友情」。春をまた迎えられる幸せに感謝をこめて。





2022年4月3日日曜日

キャリアコンサルティングとファイナンシャルプランニング

面白そうな講座なので申し込んでみた。

キャリアコンサルタントの国家資格を更新するためには、決められた継続学習の時間が定められている。泥縄の私だが、家族の体調を見ながら、受けられそうな時期に、できれば往復の時間を節約できるWEB講座がある間に受講しておこうと、3月にこの講座を受けた。

豊富に講座の種類があるので迷うのだが、自分がコンサルティングを受ける際に、一つどうしても決断の要素として、これから生きていくのに必要な資金を担保できるかどうかだろうと思うので、この両者の視点を有意義に結びつけたいと参加した。

10時から17時の座学なので眠気を心配したが、結果的には興味深くあっという間の一日だった。1時頃まではレクチャー。そのあとは4人のグループでケースを数件議論し発表。20人のクラスなのでそれぞれのケース(介護や定年、若年での転職等)で種々の経験ある人が積極的に課題を共有し合うので、自分もどう貢献しようかない知恵を絞って、頭が筋肉痛になった感じ。

今月、GWとできるだけ早めに必要単位を取得すべく、受講を進めていくつもり(あまりにいつもの泥縄とかけ離れた目標なので、予定は予定であくまで未定、だが)。

今日は一日雨。でも葉が活き活きとした緑美しく、こういう日は嫌いじゃない。

止みさうで止まぬ一日春の雨 稲畑汀子

2022年4月2日土曜日

旅の記憶

職場の異動が多い季節。

私自身は異動なかったものの大きな業務分担があり、短時間での引継ぎ、引き継がれ。WEBも対面でも歓送迎会ありあっと気が付いた時には年度が変わっていた。

そんな中、とても楽しみにしていた会食あり。職場の先輩で、勤務先が変わってもおつきあいいただいている。今回は以前からご一緒したかった地元のイタリアンで。

職場の話では私がヒートアップして話をしても笑って聞いていただき、気が付くと趣味や勉強のこと、と話題がつきない。

その中でもイタリアへの旅の話になると、止まらない。行きたい美術館数多あり、博物館だって捨て難い。塩野七生さんの本はどこまで読んだ?

イタリアに旅した時、どんな薫りが、匂いがしただろう。シチリアでは潮、海。鰯を焼く匂い、レモンの薫り。ミラノは皮工房での獣と油のにおい。ヴェニスは運河の湿った空気感。

先輩はミラノで気に入ったビスコッティの話。そうそう。食事ならこれも、あれも・・・。

五感で旅を楽しんだ時の記憶は文字通り何物にも代えがたく、人を結びつけるものだとあらためて思った。


2022年3月20日日曜日

フランス音楽講座 マスネ 「トッカータ」

 一か月前は何をしていただろう。

2月20日は北京五輪閉幕式だった。各競技、各国の選手に声援を送り、日本の選手の挑戦と活躍に胸躍らせた。仕事では、旧正月前後、五輪前、中国での大型投資の商談の動きが緩慢で、次のパラリンピックまでの間に動きがあることを期待していた。

実際にはロシアによるウクライナ侵攻が起こり、パラリンピックが何等か歯止めになってくれるかとの思いもむなしく現状に至っている。いつの間にかパラリンピックは終わり、この戦争の影響がニッケルやパラジウム、ヴァナジウムといった資源・原料高となって日々の仕事にダイレクトに関わってきている。この二週間は、この原料高騰のお蔭で、既契約の見直し、新規案件の急激な増(各企業が製造用の材料をおさえにかかってきている)への対応で忙殺された。

プライヴェートでは、先月は何をしていたか・・・。先月のフランス音楽講座には、マスネの「トッカータ」をもっていった。1か月で仕上げるには難しいかとも思ったが、アルペジオや音階が冬のスキーやジャンプのシュプールを想起させたので、季節にあっている気がして練習はじめた。

トッカータの語源はイタリア語の「toccare(触る)」。オルガンやチェンバロなどの鍵盤楽器に異常がないかを調べるためために、音階やアルペジオなどを弾き確かめたところからきている。今でも調律師さんが調律したあとにいろいろな音域で試し弾きをされているが、この行為そのものなのだろう。このように音を確かめる試し弾きといった目的から、時を経て即興的で連打や反復音の多い技巧的な曲に発展していった。

この曲の音階やアルペジオの左右の手、入れ替わり立ち代わり激しく弧を描く旋律が、今度は今の様々な政情や、資源・材料価格の乱高下を想起させるのだから、いやになる。音楽には何の責任もないのに。

早朝散歩。もう既に桜が咲いているとは。あれほど待ち望んでいた春がもう既にきていたことに気が付きもしていなかった。

2022年3月13日日曜日

春の兆し

 ふらふらと 行けば菜の花 はや見ゆる 正岡子規


2022年2月26日土曜日

ロシアのウクライナ侵攻

あり得るという話は種々のニュースやコメントにあったが。実行されてしまった。衝撃としかいいようがない。

父と母から戦争中の話を聞き、二度と起こしてはいけないと思いつつ、世界は戦争に満ちている。そして今起きているこの戦争に対して経済制裁以外の対抗ができていない状況。



2022年2月20日日曜日

嵐雪

2月は家族ともども体調があまり良くなかった。

そんな中で漸く、ひと区切りが着いた気がする週末。私もひと月ぶりに早朝散歩へ。

ひと月前、一輪咲き始めた白梅に心躍った。

梅一輪 一輪ほどのあたたかさ 服部嵐雪

それが今日みてみれば、枝一杯に花咲き、蕾が先を尖らせながら待っている。

もうすぐ春がくるという予感。毎年巡ってくる四季なのに、何故こう心が躍るのか。

2022年2月12日土曜日

白雪とスポーツ こころに剣士を

冬の五輪は美しい。ジャンプにフイギュアスケート。白い雪が全てを封じ込めるよう。

各国の選手達の健闘に手に汗握り見入ってしまう。一方で参加後の「規定違反発覚」で相次ぐ「失格」もあって、心穏やか観戦できないこともある。白い雪はそういう部分も覆い隠し、最後に美しい記憶しか残さないだろうか。

今週は東京にも雪が降った。外も雪、テレビで見る五輪も雪。雪が思い出させた映画は、「こころに剣士を」。エストニアの作品だ。

チャイコフスキーも滞在したことのある美しいリゾート地、ハープサル。ここはナチス、そしてスターリンから支配された土地。この地に教師としてわたってきたフェンシング指導者の実話である。

戦時中にドイツ軍にいたことから秘密警察に追われる身となった主人公は、身を隠すためにこの田舎町にくるのだが、実は彼はレニングラードでは有名なフェンシングの選手だった。この地で体育教師として赴任してきた。子供は苦手という彼だったが、部活でフェンシングを教えることに。戦争で父親達をとられた子供達の心が集まってきて練習にも力が入るように。練習を重ねて大会にでられるようになった子供達だが、大会は主人公にとって鬼門のレニングラードで行われる。最後、危険を冒して子供達に付き添っていく主人公は・・・。

しんしんと降る雪。感情を煽る音楽もなく、登場人物も多弁ではない。静かにストーリーは進み、静かに終わる。フェンシングという天職、生き甲斐、存在意義を生きる為に捨てなければいけない政治環境でもなお、捨てられない主人公の選択の重さと時代の非情さが迫る。

何故か五輪をみていて、この映画を思い出した。

2022年2月6日日曜日

立春 そして北京五輪

オミクロン猛威で日本のコロナ新規感染者は2万人/となったこの週。

「立春」という春が来たかのような名前にもかかわらず非常に寒い日、2008年に続き二度目の北京五輪は前回の華々しさとは異なる演出と政治ショーで開幕した。

前回の北京五輪の頃は、月に1週間は中国出張をして商談に明け暮れていた時期だった。五輪の熱気も1年位前からボルテージが上がっていて、建設ラッシュで翌月街に出ると前回食事をした店が取り壊され高層ビルがどんどん建っていたような時代だった。五輪近くの出張は、時間が読めなくなると想定され避けるようにしていたが、確か開催一か月前頃にどうしても行かなくてはならなくった。その時は空港の入国手続きに3時間以上かかった。同行者や現地関係者と落ち合うまでに5時間。見越して入国の日は宿泊するだけにしていたから良かったものの、宿に着いたのは深夜。翌日からの客先訪問も、車での移動は、車両規制で道路の流れはコントロールされていたものの検問のようなものもあり、やはり時間が読めず苦労した。

今回はどうなのだろう。春節が明けたら、現地関係者にきいてみたいもの。


2022年1月29日土曜日

春を求めて

1月も はや最終週末。寒いながら日が僅かずつのびてきた。心躍る。

花屋にも黄水仙、紅梅、白梅がやわらかな清楚な匂いを放ち思わず立ち止まってしまう。まだ早いだろうにチューリップまで。父が特に好きだった。求めて帰り、飾った。

妹が父のお墓詣りにいってくれて、ピンクの花を飾ってくれたそうだ。父も喜んでいるだろう。マッチョマンに見えた父は渋い色が好きなのだと勝手に思い込んでいたが、本当はピンク色が好きだったらしい。亡くなった後に知った。