2018年7月22日日曜日

ポッキーズ 川口リリア小ホール Shigeru Kawai

先週は川口リリア小ホールで友人と連弾。フランス音楽講座仲間もかけつけてくれ、緊張もしたが嬉しくもあり、楽しい時だった。この一年のうちに両手首を骨折した友人と、左足踝を骨折した二重苦?三重苦の私達に「デュオ ポッキーズ」と命名してもらい大笑い。今年は別々の時期に(当たり前だが)骨折、安静、入院、手術などが続き、一緒に練習時間が殆どごれなかったが、友人の曲選択の良さに助けられ、どうにか間に合ったと思う。来年にむけては、もう骨折を繰り返さないよう、ポキポッキーズとならないようにしたい。

ホールのピアノはShigeru Kawai。華やかで軽やかな打鍵に感じた。実力よりも良い音に響いた気がする。ただ、ホールの面積はピアノの音量に比して狭いからか、自分で聞こえる音がソフトペダルを通したようなのだが、実際には(人の演奏を聴いていると)ブリリアントな音が比較的でるようで、ギャップがあった。それを味方にできる人もいるのだろうが、私自身は頭でわかっていても身体は迷い調整があまりできなかったと思う。ただ、綺麗な音であることは確かで、その喜びは迷いながらも感じることができた。

Shigeru Kawaiは創業者河合小市がヤマハの第一号を一緒につくったあと独立しピアノ製造をはじめ、二代目滋氏が満を持して世に出したプレスティージ・モデル。一台一台素材にも手作りにもこだわり、またサポートも同一技術者が対応するという。素材へのこだわりとしては、響板への木材の選別もさることながら、アクション機構にはカーボンファイバー入りABS樹脂を採用。軽快なタッチとダイナミックレンジの拡大といった演奏家の希望をかなえるべく高剛性と軽量化を同時に狙ったという。ピアノは欧州のもの、長い歴史を尊ぶ、といった思い込みを吹き払う、「今」に合わせた新しいピアノなのだろう。



2018年7月21日土曜日

泰山木の

マンション前の垣根にこの木があって、季節になると母は見上げて花が今日は咲いているのではないかと楽しみにしている。生まれ故郷で咲いていたそうで懐かしいと。大盃木とも書く。中国の泰山にちなむともきき、中国原産かと思いきや、北米が原産とのこと。

木蓮科で、花の色は象牙色、葉もつややか。大きいものは50cmの花だそうだ。木が高くならないと花をつけないとのことで、なかなか咲いても気付きにくい。ふと空を見上げて見つけた時には、仏様の両手が空に向かっている気がして、ふと佇んでしまう。


泰山木の 三好達治
泰山木の花咲きしは なほ昨日のごとし かの寄宿舎の窓べに ある日ふとその花咲きしは なほ昨日のごとし そのかみの友半ば戦に死し 身はひとりかくも拙く老いはてぬ ことなべて終わらんとして 思い出はなほ昨日のごとく新し かの花や かの青空や

2018年7月15日日曜日

お盆

西日本豪雨災害の被災者の方々に心よりお見舞い申し上げます。以前、九州の親戚や知り合いが被災し、今回の豪雨で会社の同僚や職場も被害にあった方々も多く、公私共に心配が募った週だった。

この週末はお盆。江戸っ子の父にとってお盆とは7月。イタリア親父のような濃いめで甘めのルックスの父は、自分の憧れを投射したのか、強面のマドラスの木彫りの人形を買ってきて大切に飾っていた。

そのマッチョマンと父の好きなピンクの薔薇でお迎え。

2018年7月1日日曜日

蝦夷菊 中国の菊 美しい冠

今日から7月。2018年も後半に突入だ。今年は梅雨明け宣言が早かった。もう関東は開け宣言済みで今日は一足飛びに真夏の天気だ。妹が父の好きな小花をもってきてくれた。この花は夏から秋の花というが今を盛りと咲いている。

キク科シオン族。Callistephus chinensis(中国の菊)中国北部が原産。ギリシア語のcallos(美しい)stephos(冠)が語源。日本では蝦夷菊ともいう。


真っ白で光る真珠のような蕾が沢山ついている。それらがためらいがちに少しずつ、しかし次々と花開く。アスター。可憐な小花ながら、力一杯に、エネルギッシュに咲き続ける様は、とても眩しい。

コッペリア、あるいは琺瑯質(エナメル)の目をもつ乙女 ドリーブ

先週は、友人と連弾三昧だった。曲はドリーブのコッペリアから。ピアノの先生のレッスン、仕事帰りのスタジオ練習、週末はオーケストラの先生のレッスンまで。友人の先生は有名オーケストラのヴィオラ奏者の方で、曲を大局から捉えること、フレージングなどを中心にオーケストラを指揮されているかのような指摘をいただき、厳しいながら毎回ワクワクと心が躍る。どんなにピアニシモでも弾いても「もっと小さく、もっとできるでしょ」。フォルテシモでも弾いても「もっとドラマチックに、もっと豊かに」。高い要求に、思わず応えようとギリギリまで背伸びしてしまう。その背伸びもまた楽しからずや。

コッペリアはバレエ曲で、ポーランドの農村で、恋人のフランツとスワニルダが、コッペリアという人形を恋の鞘当にひと波乱演じる。二人はもとの鞘におさまりハッピーエンドで大舞曲でしめくくられるが、振り付けによってはその人形が本当に人間になってしまうバージョンや、人形はバラバラに壊れて呆然と立ち尽くす人形師コッペリウスを最後に幕が下がるバージョンがあるそうだ。最後はどうであれ私達が弾くのは序奏とワルツ。物語のはじめ、何かが起きる予感と、身体が動き出さずにはいられない村の踊りの楽しさを表現できれば嬉しい。