2022年2月12日土曜日

白雪とスポーツ こころに剣士を

冬の五輪は美しい。ジャンプにフイギュアスケート。白い雪が全てを封じ込めるよう。

各国の選手達の健闘に手に汗握り見入ってしまう。一方で参加後の「規定違反発覚」で相次ぐ「失格」もあって、心穏やか観戦できないこともある。白い雪はそういう部分も覆い隠し、最後に美しい記憶しか残さないだろうか。

今週は東京にも雪が降った。外も雪、テレビで見る五輪も雪。雪が思い出させた映画は、「こころに剣士を」。エストニアの作品だ。

チャイコフスキーも滞在したことのある美しいリゾート地、ハープサル。ここはナチス、そしてスターリンから支配された土地。この地に教師としてわたってきたフェンシング指導者の実話である。

戦時中にドイツ軍にいたことから秘密警察に追われる身となった主人公は、身を隠すためにこの田舎町にくるのだが、実は彼はレニングラードでは有名なフェンシングの選手だった。この地で体育教師として赴任してきた。子供は苦手という彼だったが、部活でフェンシングを教えることに。戦争で父親達をとられた子供達の心が集まってきて練習にも力が入るように。練習を重ねて大会にでられるようになった子供達だが、大会は主人公にとって鬼門のレニングラードで行われる。最後、危険を冒して子供達に付き添っていく主人公は・・・。

しんしんと降る雪。感情を煽る音楽もなく、登場人物も多弁ではない。静かにストーリーは進み、静かに終わる。フェンシングという天職、生き甲斐、存在意義を生きる為に捨てなければいけない政治環境でもなお、捨てられない主人公の選択の重さと時代の非情さが迫る。

何故か五輪をみていて、この映画を思い出した。

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