2023年12月31日日曜日

2023年末に

とうとう大晦日だ。

これは、覚悟を決めて大掃除するしかない。窓拭き、ベランダのモップがけ、部屋とお風呂掃除。最後の締めは狭いとはいえ玄関まわり。家族を守ってくれる家だから、一年に一度位は、丹念に拭き掃除。終わってみると何やら達成感が。

大年のひるさがりより零(こさめ)など 原石鼎

平和な佳い新年を迎えられますよう。


2023年12月30日土曜日

2023年度読んだ本

毎年恒例(でもないが)の勝手ベスト3ランキング。

1位 オーケストラの危機 ロバートJ.フラナガン著 大鐘亜樹訳

2位 世界をこの目で 黒木亮

3位 沈黙のたたかい レジスタンスの記録 ヴェルコール著 森乾訳

「オーケストラの危機」は今年12月に出版されたばかりの著作だ。副題が「芸術的成功と経済的課題」、本の帯には「オーケストラはなぜ黒字を維持することが難しいのか」との問いかけが。オーケストラが赤字?そんなことを想像したことがあっただろうか?華やかな舞台、ある程度常連のクラシックファンがかけつけるであろう、固定客のある「かたい」マーケットと思っていた。しかしそれが異なり、存続の危機にあるオーケストラが多いという。

本書は、「オーケストラの黒字と赤字」「なぜ黒字を維持することが難しいのか」と冒頭からたたみ込んでくる。「コスト病か景気循環か」「オーケストラ財務の諸相」「聴衆を求めて」と問いからみえてきた課題が続く。政府支援、民間支援、寄付財産と統制。単なる批評家の分析で終わらずここからが著者の視点、解決への模索がある。最後に「オーケストラの未来について」。解決策を提言するのが目的ではなく「課題を一発で解決できる方策などは存在しない」とした上で、本書の分析がオーケストラの経済的安定に寄与しうる活動を示唆すると結んでいる。研究書の為、最後まで客観的な姿勢を貫いているが、オーケストラに留まらず音楽を生業とする個人、団体が一度は目を通しておくべき書だろう。

欧米の例は知らないことが多く説得力があったが、では日本もそうなのだろうか?との問いが湧く。それに対しては訳者が12頁もの紙面を割いて、長年の財務の蓄積による鋭い考察を述べている。著作自体も新しい視点の興味深い研究ながら、翻訳者の日本の音楽界への課題意識と解決したいという情熱も、熱量が半端ではない。

著者と訳者が一体となった力作。年末に非常に深い洞察力のある本に出合うことができた。


2023年12月26日火曜日

Moment Musicaux

好きなラフマニノフの曲につけられているタイトル。

ラフマニノフだけではなくシューベルトの曲も有名。日本語に訳すと「楽興の時」。直訳すると「音楽の瞬間」。

昨日はDUOポッキーズの友人が設定してくれて、フランス音楽講座の仲間で飲み会。仕事の話から、来年何弾こう?また集まって音楽会する?といった話まで話題はつきない。こういう時を言葉で表すと楽興の時なのだろう。音楽が奏でられていなくとも、いろいろな曲やアイディアが、まるで対位法のように人それぞれ湧き出でて語られる。音楽も言葉も、人の心の表現の一手段なのだなあとしみじみ感じた楽しいひととき。


来年は一緒にコンサートしようね!と名残惜しんで話したあと、友人からいただいたクッキー。お互いの地元で有名なフランス菓子のお店で買ってきてくれたそう。週末に有難くいただこう。


2023年12月24日日曜日

like a box of chocolates

先輩と窯焼きピッツアの美味しい店へ。

先輩にはいろいろ愚痴を聞いていただいたり、人生の岐路にアドヴァイスをいただいたり。仕事でもご一緒させていただきながらも、多分リラックスできる場で話を聞いてあげようと思っていただいたか、食事をしながら話をする機会をいただいてきた。

殆ど毎回違う店ぶようにしている。今回は初のピッツアリア。4種類のチーズが複雑な味わいのクアトロフォルマッジと、トマトの香り高いマリナーラ。もちもちの生地が美味しい。学生時代のように手でつかんで頬張って、はふはふいいながら食べつつ。いつものように私がいろいろ仕事の話を訴え、先輩は笑いながら聞いていただき、時に鋭く、時に厳しいご意見をいただく。先輩の近況をおききして、触発され、自省する・・・。嬉しく、そして有難い時間だ。

帰り際にいただいたチョコレート。普段甘いものは食べないのだが、エネルギー補給して頑張れよ、と言われた気がして、これは家族と一緒に週末にゆっくり味わっていただくつもり。頭に栄養がいきわたって、次に先輩にお会いする時には「頑張ったな」と言っていただけるように。

Life is like a box of chocolates.  You never know what your're gonna get.

映画「フォレスト・ガンプ」で語られる言葉。頑張れよだけではなく、チョコレートの箱のように何が起こるかわからないのだから、ワクワクした気持ちを忘れるなよ、と言われたのかもしれない。


2023年12月17日日曜日

受賞者コンサート

このコンサートのお蔭で、またベーゼンドルファーを弾くことができた。

ベーゼンドルファーはオーストリア発祥のメーカーで、今はヤマハ傘下だ。「創業以来約190年という長い歴史のなかで5万台程度しか生 産されていない芸術色の強いピアノ」。使用木材の85%が響板でも使用されるスプルースという響き の良い木材で、いわば「ピアノ全体が共鳴する」(「GrandGallery東京」HPより)。中でも、杉並公会堂のモデルは、290インペリアルといわれ、通常の88鍵に加えて9鍵低音が追加されていて、「完全な8オクターブ」を実現している。 追加の倍音、共鳴を作り出すことで、よく「オーケストラのような音」とも譬えられる。

暗譜で弾ける曲をあまり持ちあわせていない私は、ここでもプーランクのノヴェレッテ2番と、フォーレのノクターン2番をまた弾いた。コンクールの時と同じ曲なので、レパートリーの狭さを喧伝するようで忸怩たる思いはあったが、せめて弾き方を少し変えてみた。プーランクは軽妙さをもっと出したくてテンポを無理やり上げた。少し粗くなった部分もあるが、勢いやフレーズ感は以前より出たのでは・・・。フォーレは間違っても良いのでもっと歌って、テンポも揺らしてみた。冒頭から「歌って」と作曲家自ら記載していいる位なので、ま、いいか!と好きなように唄ってみることに。自分の技術力との妥協点をみながらではあるが。

自分の番はさっさと終わったのであとは他の演奏を心置きなく聴くことが出来、また 聴きにきてくれた人と言葉を交わせたこともとても嬉しかった。


妹夫婦からいただいたビタミンカラーの花束。