2022年9月24日土曜日

青柳いづみこ氏 安川加壽子生誕100年に寄せて

嵐の中コンサートに行ってきた。

安川先生のお弟子さん達の発表会のプログラムから選ばれた曲目。ドビュッシー、クープランといったよく知った曲から、バロー、マレ、カゼッラは全く知らなかった。知らない曲を聴くことができるとそれだけ世界が広がるような気がして心躍る。プーランクの「村物語」は劇を見ているようで活き活きと、ピエルネの「愛しい人たちへのアルバム」は懐かしい気持ちにさせる小曲集。

最後に青柳氏が義姉を亡くされてから弾くようになったというシューベルトの即興曲集から3曲。フランス音楽、とりわけドビュッシーの専門家とされるこの方がシューベルト?と驚いたものの、曲が始まるとただただ惹き込まれた。衒いもなく内省的で、ピアノを使って歌っているようだった。バスの響きの良いこと。メロティのピアノが優しいこと。気がつくと涙を流していた。何が響いてそうなったのか分析しようとしてやめた。とてもいい演奏だったということだ。



2022年9月19日月曜日

Kapellを聴きながら ショパン ソナタ2番 3番他

各地 荒れた三連休だった。

少ないものの国内客の工場に台風の被害がないか、大雨の中国や地震の台湾で客先に影響がないかヒアリングしてもらったり、九州の親戚の状況を確認したりであっという間にもう最終日。

東京はハリケーンのような横殴りの雨かと思えば、狐の嫁入りのようなお天気雨だったり落ち着かない。こんな日はと網戸の掃除をするしかない。マンションはベランダ掃除にも下の階の人に気を遣うが、これだけの雨なら少々の網戸の水の跳ね返りも気が付かないのではと。

気張ってやり始めていると、久しぶりに友人からLINEが。「今 NHKFMでウィリアム・カペルの演奏やってます。」急いでつけると耳に飛び込んできた。彼女のチャットが続き、同時代に同じく夭逝したリパッティも思いだしながら、お互い朝から良い演奏を楽しんだ。

網戸掃除も漸く終わり。身体も動けなくなるくらい汗もかき、暫し休憩。いただいたKapellのソナタ集をかけてみる。一枚ずつ聴いていくのが楽しみで今回は二枚目。ショパンの3番、2番、途中にワルツやノクターンがはさまって音楽会のような構成だ。そのあとはメンデルスゾーン「羊飼いの嘆き」、シューマン「ロマンス」、モーツアルトのソナタ16番。ショパンのソナタもいいが、小品がいい。「自分の弾き方」を聴衆に喧伝するピアニストが多い中、内省的で押し付けない弾き方は耳にすっと入ってくる。

いい音楽を聴き、それを友とも分かち合えるとは幸せなことだ。


2022年9月11日日曜日

フランス音楽講座 「夜想曲」「サルタレッロ」マスネ

スタイルとリズムの為の練習曲から二曲もっていった。

今日は聴講が多く、弾く人が少ないので緊張して臨んだ。小品だが、夜想曲は「珠玉の」との修飾語に値する美しい曲。サルタレッロは中世のイタリアの舞曲で、小さな跳躍が特徴。早くて指がひきつるが運動性とマスネのメロディーが合わさると不思議に忘れ難い一品となる。

フランス音楽講座なのだが、今日受講生が弾いたブラームス「6つのピアノ小品」から#1と#2曲が秀逸で、今も耳に残る。冒頭から心をわしづかみにするメロディーに引き込まれ、もの哀しい雰囲気を抱いて終わる。脈絡もなく、季節の移り変わりを意識し、ああ、もう秋なんだ、と思った。

この他、20年前の受講生の方がたまたまドイツから里帰りで参加。飛び入りで、先生と連弾。ビゼーやスクリャービンを初見で弾かれ、先生と即興でのセッションに皆大興奮。こんな贅沢があるなんて。いろいろ辛いことがあっても、時におもいがけず、こんなボーナスがあるから、生きていけるんだなあと思うほど音の喜びに酔った時間だった。



2022年9月4日日曜日

今日のひと日の紅

気がついたら9月だった。

長月の 今日のひと日の 紅を恋ふ 池内友次郎

デュオ・ポッキーズの友人からいただいたこけしのハンカチーフと「こけしみるく」という「釜人鉢の木」さんのお菓子。今年は二人でいろいろなところで弾きましたね。あるコンクールでは地方本選まで。優秀賞もいただいた。一生懸命やったら2人で弾いたのに3人分位頑張れたかも。楽しかった酷暑のトレーニングを讃え合い、彼女が欧州の学会から帰ってきたらお疲れ様会をすることを約した。


2022年8月21日日曜日

フランス音楽講座 ドビュッシー「夜想曲」再び

先月は休んだので一か月ぶりの参加。

今回もまるでマルチプレーヤーによるコンサートのように多彩な曲目だった。面白かったのはオーケストラ曲のピアノ編曲版が多かったこと(その逆もあり)。グリーグのペールギュントから「オーゼの死」「山の魔王の宮殿にて」、ストラヴィンスキー火の鳥から「子守唄」、ワーグナー/リストで「イゾルデの愛の死」。聴いている方は、ただただ楽しい。参加しているだけで思いもかけない種類の曲が聴けて、まるでお祭りだ。

弾く方はオーケストラの各パートの弾き分けが難しいだろう。金管なら輝かしく、木管なら温かく時々ユーモラスに、弦は弦で主張するヴァイオリン、チェロに、寄り添うヴィオラ、支えるバス。

先生のご指摘や解説もライブ感高まり。

講座の狭い一室で、オペラの音楽堂で一晩過ごしたかのような心地よい疲れを感じ終わった。


ひかりある
そらはしずかに
ただひとつ
あさがおのさく

八木重吉


2022年8月13日土曜日

William Kapell ショパン マズルカ

このピアニストご存じだろうか。

私は全く知らなかった。今回CD全集をいただくまで。

アメリカ人で31歳で夭折したという。ネットで調べてみるといろいろな人がコメントを書いているが、大体含まれる形容詞は「天才」「比類ないテクニック」「峻厳」「美しい抒情性」「成熟」と言った、ピアニストならこう表現して欲しいだろう言葉が連なっている。

1枚目のショパン・マズルカ集を聴く。とても自然に耳に入ってくる。弾いてやるぞ、聴かせてやるぞちう力みが全くなく、自分の曲を弾いている感じ。

CDのプログラムノートを見ると、カペルは用意周到に準備するピアニストだったそうで、ただショパンのマズルカに対しては、譜読みしながらまわりの人に弾いてきかせるといった、音の自由を楽しんでいたそうだ。これは凄い。ポーランドの民族音楽が身体の中にしみこんでいる人でないと、この独特なリズムに泣かされる。意識しすぎてマズルカの型から入る人、意識しなさすぎてワルツになってしまう人もプロですら多い。まるで自分が作曲者のような即興性すら感じる演奏に驚き。

それでは、準備を重ねた曲はどんな風に弾くのだろう?これは一枚ずつゆっくりと楽しんで聴かせていただこう。


写真はCDの全集から(BMG社)借用

2022年8月11日木曜日

海景

今日は山の日の祝日だが、海景の話。

友人が今年も丹精込めて作ったじゃがいもを送ってきてくれた。中にはゴッホの絵葉書が添えられて。初めて見る絵だった。


「サント・マリー・ド・ラメールの海景」。

白波に、海は青かったり緑だったり、オパールのような色合いが美しい。丁度、まだ練習しているドビュッシーの「夜想曲」の冒頭のイメージにぴったりな情景だ。ピアノの近くの壁に貼って毎日眺めながら、どうやったらこんな風に光や影、色の変化を「自然に」表現できるのか考えている。

見ていると波音まで聞こえて涼しくなりそうなものだが、そこまでは流石に想像に身を任せられず酷暑は厳しい。

いただいたじゃがいもの方は。生のじゃがいもをそのまま嗅ぐと青臭い。地面からとってきたばかりなのが分かる。できるだけ手を加えずに味わいたい。2個は茹でて湯気ができているものに塩を振ってそのままいただく。バターを添えれば、それだけで幸せ。庭のローズマリーを切ってきてオリーブオイルで黄金色にカリッと焼けば、酷暑も乗り越えられそうな位、身体に英気が漲ってくる。有り難い夏の贈り物を堪能した。