2022年2月20日日曜日

嵐雪

2月は家族ともども体調があまり良くなかった。

そんな中で漸く、ひと区切りが着いた気がする週末。私もひと月ぶりに早朝散歩へ。

ひと月前、一輪咲き始めた白梅に心躍った。

梅一輪 一輪ほどのあたたかさ 服部嵐雪

それが今日みてみれば、枝一杯に花咲き、蕾が先を尖らせながら待っている。

もうすぐ春がくるという予感。毎年巡ってくる四季なのに、何故こう心が躍るのか。

2022年2月12日土曜日

白雪とスポーツ こころに剣士を

冬の五輪は美しい。ジャンプにフイギュアスケート。白い雪が全てを封じ込めるよう。

各国の選手達の健闘に手に汗握り見入ってしまう。一方で参加後の「規定違反発覚」で相次ぐ「失格」もあって、心穏やか観戦できないこともある。白い雪はそういう部分も覆い隠し、最後に美しい記憶しか残さないだろうか。

今週は東京にも雪が降った。外も雪、テレビで見る五輪も雪。雪が思い出させた映画は、「こころに剣士を」。エストニアの作品だ。

チャイコフスキーも滞在したことのある美しいリゾート地、ハープサル。ここはナチス、そしてスターリンから支配された土地。この地に教師としてわたってきたフェンシング指導者の実話である。

戦時中にドイツ軍にいたことから秘密警察に追われる身となった主人公は、身を隠すためにこの田舎町にくるのだが、実は彼はレニングラードでは有名なフェンシングの選手だった。この地で体育教師として赴任してきた。子供は苦手という彼だったが、部活でフェンシングを教えることに。戦争で父親達をとられた子供達の心が集まってきて練習にも力が入るように。練習を重ねて大会にでられるようになった子供達だが、大会は主人公にとって鬼門のレニングラードで行われる。最後、危険を冒して子供達に付き添っていく主人公は・・・。

しんしんと降る雪。感情を煽る音楽もなく、登場人物も多弁ではない。静かにストーリーは進み、静かに終わる。フェンシングという天職、生き甲斐、存在意義を生きる為に捨てなければいけない政治環境でもなお、捨てられない主人公の選択の重さと時代の非情さが迫る。

何故か五輪をみていて、この映画を思い出した。

2022年2月6日日曜日

立春 そして北京五輪

オミクロン猛威で日本のコロナ新規感染者は2万人/となったこの週。

「立春」という春が来たかのような名前にもかかわらず非常に寒い日、2008年に続き二度目の北京五輪は前回の華々しさとは異なる演出と政治ショーで開幕した。

前回の北京五輪の頃は、月に1週間は中国出張をして商談に明け暮れていた時期だった。五輪の熱気も1年位前からボルテージが上がっていて、建設ラッシュで翌月街に出ると前回食事をした店が取り壊され高層ビルがどんどん建っていたような時代だった。五輪近くの出張は、時間が読めなくなると想定され避けるようにしていたが、確か開催一か月前頃にどうしても行かなくてはならなくった。その時は空港の入国手続きに3時間以上かかった。同行者や現地関係者と落ち合うまでに5時間。見越して入国の日は宿泊するだけにしていたから良かったものの、宿に着いたのは深夜。翌日からの客先訪問も、車での移動は、車両規制で道路の流れはコントロールされていたものの検問のようなものもあり、やはり時間が読めず苦労した。

今回はどうなのだろう。春節が明けたら、現地関係者にきいてみたいもの。


2022年1月29日土曜日

春を求めて

1月も はや最終週末。寒いながら日が僅かずつのびてきた。心躍る。

花屋にも黄水仙、紅梅、白梅がやわらかな清楚な匂いを放ち思わず立ち止まってしまう。まだ早いだろうにチューリップまで。父が特に好きだった。求めて帰り、飾った。

妹が父のお墓詣りにいってくれて、ピンクの花を飾ってくれたそうだ。父も喜んでいるだろう。マッチョマンに見えた父は渋い色が好きなのだと勝手に思い込んでいたが、本当はピンク色が好きだったらしい。亡くなった後に知った。

2022年1月23日日曜日

大寒

1月20日から2月3日、立春の前まで。一番寒い時期と言われている。

昔の知恵の通り寒さ厳しく、一日のコロナ新規感染者数も初の5万人台を超え、まん延防止措置も急に発令された。それに伴い、会社の面談、外出、会食等の外部接触との方針もまた代わり、21日は面談や会食の延期やWEB化の再調整に時間をとられた。

金曜のプライヴェートの飲み会は危険予知して、少し前に対面からWEBに変え、それに伴い参加者も東京だけではなくその他の地域の人達にも声をかけていたので、当日慌てることもなく実行できた。離れているから普段顔をあわせることもない人達と、マスクなしの生き生きとした表情を見ながら話し、笑い、飲むのは楽しい。

コロナの流行で、面談や講演会、そして以前であれば考えられなかっただろう会食までWEBでできるようになった便利さは、もう後戻りすることはできない。勿論一番いいのはリアルに会うことだが、選択肢が増えること、遠くの人や普段いろいろ制約があって会食にあまり出ない人達にも気軽に参加してもらえることのメリットも有難いことだ。


早朝散歩で見つけた。黄梅。迎春花とも言うらしい。大寒で身体が寒さで縮こまっていて、つい足早に通りすぎそうになっていたが、ふと空を見るといつの間にか咲いていた。

黄梅に動くものみな光るなり/小松崎爽青

冬来りなば春遠からじ。そう口に出してみる。

2022年1月9日日曜日

2021年読んだ本

先週は仕事始めと同時に商談、初雪の中での客先挨拶といきなり盛り沢山。

年末年始は有難いことに、対照的に、静かに過ごすことができた。掃除、整理。本棚や写真は、整理しようとすると中身を確認のため開けると、結局読んでしまったりしてなかなか片付かない。だが、こうゆったりと時間を過ごせること自体とても贅沢なことだ。

昨年、楽しみの為に読んだ本の中でベスト3を聞かれたら、どう答えるだろう。あれか、これか。数年前までであれば迷う対象がミステリー小説で8割だったろう。一昨年頃からは藤沢周平にはまっている。

1位:蝉しぐれ 藤沢周平

江戸時代の架空の藩で少年藩士が成長していく様を描いた長編。文章が簡明でいて余韻を残して想像力をかきたてる文筆力は日本人に生まれて良かったと思わせてくれる。ストーリーの底に人をあたたかく見つめる作者のまなざしが感じられ、気持ちが安らぐ。善きこと、悪しきこと、いろいろ起こるがまた明日は起きて働こうと思える、私にとってのビタミン本。

2位:天使と嘘、WHEN SHE WAS GOOD マイケル・ロボサム

このミステリーは久々に面白かった。1巻目が「天使と嘘」で、まだ2巻目が日本で出版されていなかったので"WHEN SHE WAS GOOD"を取り寄せて読んだほど。以前はよく待てないので原書で読むということはあったが、最近そこまでしようと思う対象がなかった。ストーリーは臨床心理士のサイラスと、子供の頃に異常殺人の現場で発見され、今は「嘘をみぬこことができる能力」を備えた少女イーヴィの出会いから始まる。二人の男女の心理が交互に映し出されて、ある事件の真相を解明していくという構成が、単なる謎解き以上の面白さとなっている。作者はジャーナリストやゴーストライターもしていたということから、筆力や調査力はお墨付き。写真はGoodread HPより拝借。

3位:くちずさみたくなる名詩 下重暁子

アナウンサーで文筆家でもある筆者が選んだ、タイトルどおり「くちずさみたくなる」名詩。巻末に「くちずさみ索引」があるのも秀逸。あれ、なんだっけ、と思ってひくと忘れていた題名や筆者がでてきて、そうそう、中学の授業で習った、大学の図書館で出会った、と情景が蘇る。詩や短歌、俳句、などリズムがある詩は、言葉の意味、音と共に、韻や語感を発して聞く愉しみがまた別にある。自分の気持ちや思いを、詩に託して読み上げるのは、ピアノを弾いたり、歌を歌うことと同じ。「くちずさみたくなる」ものなのだ。



2022年1月1日土曜日

いざ舟出

2022年の始まり。

いざ舟出初日いまこそ大全円 桂信子