2022年1月9日日曜日

2021年読んだ本

先週は仕事始めと同時に商談、初雪の中での客先挨拶といきなり盛り沢山。

年末年始は有難いことに、対照的に、静かに過ごすことができた。掃除、整理。本棚や写真は、整理しようとすると中身を確認のため開けると、結局読んでしまったりしてなかなか片付かない。だが、こうゆったりと時間を過ごせること自体とても贅沢なことだ。

昨年、楽しみの為に読んだ本の中でベスト3を聞かれたら、どう答えるだろう。あれか、これか。数年前までであれば迷う対象がミステリー小説で8割だったろう。一昨年頃からは藤沢周平にはまっている。

1位:蝉しぐれ 藤沢周平

江戸時代の架空の藩で少年藩士が成長していく様を描いた長編。文章が簡明でいて余韻を残して想像力をかきたてる文筆力は日本人に生まれて良かったと思わせてくれる。ストーリーの底に人をあたたかく見つめる作者のまなざしが感じられ、気持ちが安らぐ。善きこと、悪しきこと、いろいろ起こるがまた明日は起きて働こうと思える、私にとってのビタミン本。

2位:天使と嘘、WHEN SHE WAS GOOD マイケル・ロボサム

このミステリーは久々に面白かった。1巻目が「天使と嘘」で、まだ2巻目が日本で出版されていなかったので"WHEN SHE WAS GOOD"を取り寄せて読んだほど。以前はよく待てないので原書で読むということはあったが、最近そこまでしようと思う対象がなかった。ストーリーは臨床心理士のサイラスと、子供の頃に異常殺人の現場で発見され、今は「嘘をみぬこことができる能力」を備えた少女イーヴィの出会いから始まる。二人の男女の心理が交互に映し出されて、ある事件の真相を解明していくという構成が、単なる謎解き以上の面白さとなっている。作者はジャーナリストやゴーストライターもしていたということから、筆力や調査力はお墨付き。写真はGoodread HPより拝借。

3位:くちずさみたくなる名詩 下重暁子

アナウンサーで文筆家でもある筆者が選んだ、タイトルどおり「くちずさみたくなる」名詩。巻末に「くちずさみ索引」があるのも秀逸。あれ、なんだっけ、と思ってひくと忘れていた題名や筆者がでてきて、そうそう、中学の授業で習った、大学の図書館で出会った、と情景が蘇る。詩や短歌、俳句、などリズムがある詩は、言葉の意味、音と共に、韻や語感を発して聞く愉しみがまた別にある。自分の気持ちや思いを、詩に託して読み上げるのは、ピアノを弾いたり、歌を歌うことと同じ。「くちずさみたくなる」ものなのだ。



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