2025年5月3日土曜日

「革命前夜」 須賀しのぶ

漸くGWだ!その前夜から楽しむため、高校時代の友人と食事へ。

窯焼きピッツアの美味しいピッツァリアへ。何を食べよう?何を飲もう?迷いながらももうお互いの近況に話が弾む。メニューを一緒にみてああでもないこうでもないと言いつつ、相談しているつもりだが、並行して話もしているから結局頼むものが決まらない。相談はやめてお互いに食べたいものを1-2品チョイスすることで解決。いわし団子のトマト煮。カポナータに生ハム。そしてピッコロトマトとモッツアレラの熱々ピッツア。

食べて飲んで。聴いて黙して笑って。あっという間の時間だった。

最後に、これ面白いから読んで、と本をいただいた。須賀しのぶ作「革命前夜]文芸春秋。彼女も妹さんからもらったそうだ。早速帰って読む始めると・・・本当に冒頭からひきこまれた。危うく一気読みしそうになったので夜中すぎに自らを制して本を置いたほど。

バブル期の日本を離れ、東ドイツに音楽留学したピアニストの話。ストーリーもテンポがよくて面白いのだが、そこに卓越した音楽の表現が深みを添えている。

たとえば主人公が練習室の順番を待っている時に聞こえてきた曲 ラフマニノフ 絵画的練習曲「音の絵」からOp39-5。

「ラフマニノフといえば重力奏法だろうがこれはハイフィンガー、いやほとんどチェンバロの弾き方に近い。レガートで弾く箇所もスタッカートのようにして弾くので、最初は驚いたものだ。・・・これほどの奔流の中、粒が際立てば収拾がつかなくなりそうなものなのに、音は純度を保ったまま見事に絡まり合っている。・・・奇妙な指捌き、巧みなペダリングで繰り出される世界に、あっという間に引きずり込まれそうになった僕は、大きく息を吸い込み、鞄で思い切り壁を叩いた。ちょうど中間部に入ったあたりで、演奏がぴたりと止む。椅子が軋み、険しい顔がこちらを向いた。細い目が、僕を認めていっそう細くなる。」

感情移入させられるロシア音楽、それも美しいメロディで知られるラフマニノフをハイフィンガーで?ほとんどチェンバロ?この設定だけで既に脳内ではどんな弾き方だ?と勝手な想像が膨らむ。奇妙な指捌き?それはラフマニノフの大きな手どおりの指使いで弾ける人はいないので当たり前だが、それを補う巧みなペダリング?聴きたい!いやペダルの踏み方をこの目で見たい。そしてひきずりこまれそうになっているので鞄で壁を叩く?実はこれは自分の練習時間になってもピアノの練習室をでていかない生徒を追い出す設定だ。ライヴァルとの関係が一行で読み取れる表現。上手いなあ。

さて今晩は、昨日の自制を再現できるか、正直わからない。やっぱり一気読みしてししまうのでは・・・。

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