2021年2月28日日曜日

AI グレングールド

 二月最後の日。

緊急事態宣言の奏功。解除を申請する自治体。五輪を巡る醜態劇。ワクチンスケジュールの明言化なしに始まる接種。乱高下するアメリカ株式と影響を受ける日経平均。波乱の二月だった。

ああ。感想は言うまい。それより、こちらは最近耳にした面白トピックス。

らららクラシック テクノロジー

作業をしながらBGMに聞いていたら、いきなり「AIグレングールド」と。瞬時に耳がそばだった(?)。なになに?今回のテーマはAIと音楽について。好き嫌いは別として、知らないことばかりで面白かった。ソリストに寄り添ってくれるAIピアノ。高度なカラオケと思えば便利だし、私もAIオーケストラがあったらありえない夢と思っていたピアノ協奏曲も弾くことができる。ただ、合わせれば良いというものではなく刺激をお互いに与え合うという機能はでてくるのか?興味はつきない。

Dear Glenn

そうよ。これ。AIに興味がない、音楽とAIなんてもってのほか、という人だって、AIグレングールドと言われたら、こっそりでも聞かずにおれないでしょう。私自身は、彼自身の演奏ではないので感動はないと思うものの、それでもAIグレンが彼の未演奏曲をどう弾いてみせるかは、やはり聴きたい。絶対興味はかきたてられる。とはいえ、彼が生きていたらどう反応するだろう?テクノロジーをいち早く取り入れ探求した彼は、案外面白がったかもしれない、と思う。このプロジェクトにアシュケナージなどを選ぶのではなくグレン・グールドを選ぶあたりが、マーケティングの妙。

LAVOT

一柳さんの土曜の番組で紹介されていた。AIを従来の「仕事を処理する」「話して人間に近づける」こととは一線を画して、non verbal (非言語)コミュニケーションを専門とするLove Robot開発の話。これは結構、愛玩用ロボットだけではなく、AIアレルギーの層の意識を変える画期的な仕掛けとなるかもしれない。


この1月、2月、家族にとっては痛みの激しい辛い時期だった。三寒四温だが、少しずつ温かく、家族も、皆さんも身体の調子が「無事」に近づくことを祈る。


親戚から見舞いにいっぱいの蜜柑が送られてきた。段ボールを開けると、いきなり淡く爽やかな香気が。食欲のなかった人がすぐに二個も蜜柑を食べてくれた。自然の力は素晴らしい。

2021年2月21日日曜日

夢想

 1月は欠席で、2月のフランス講座では久々にドビュッシーの曲をもっていった。

以前から弾きたいと思いつつ、あまり難しそうでもないのでいつか時間ができたらと思っていた曲だ。

ドビュッシー自体はこの時期(28歳前後)に作曲した曲を、駆け出しの経済的必要に迫られて作曲したものとして後年「全然好きでない」と言っていたとも言われる。

だが、この和声の運び、ドビュッシー以外、誰も描けないだろう。映画音楽のようでもにも聞のこえるが、和声が絶対に違う。時代を先取りしている。

技術的にはさほどでもないが、もっていくのには冒頭のppの弾き方など、迷うこと多く、最後まで弾かないで聴講にするか迷った。

まず冒頭の2段が難しい。ただ弾くとメトロノームのようだ。だが揺らすとswingになってしまう。第一音の係留をppで響かせておいて、あとは腕の遠心力の動きで波の寄せ返しのようなまるいリズムにする。そこからメロディーは上から降って消えるひと筆書き。

講座では、やはり、第一音の響かせ方から。何度も弾き直し。重くなくいつの間にかそばで鳴っているような音。先生の音は、たった一音なのに全然違う。なにが違うのか。耳で聞き、目で見た弾き方を真似る。全身の感覚を集中させて真似をする。違う。優れた演奏家にライブで教えていただく醍醐味がここにある。


さて、来月は何をもっていこうか。今年は何をコンクールにもっていくつもりで(どうなるかわからないが)練習しようか。毎年、暮れには決めて練習始めてと思うのに、思い悩んで講座にもっていく小曲を何となく練習して結局ゴールデンウイーク頃から練習する有様。

去年一年は、何の意図もなく、初めて弾きたい曲だけを弾いた年だった。プーランクとショパンを弾き、音楽の喜びを純粋に感じることができた。

今年はどうしようか。時々立ち寄る、アマチュアピアニストのぴあのピアノさんの「今年の目標」を拝見したら、影響受けやすい私はすぐに刺激を受けてしまった。ぴあのピアノ

私はこうしてみよう、ああしてみよう。想像するだけなら楽しいが、今の生活では週末に1時間程度練習するのがやっと(本当か?と突っ込みたくなるが・・・時間の使い方が下手なだけなのだろうが)。ぴあのピアノさんのような目標はもう少し先の楽しみにとっておこう。

今年はベートーベン ピアノソナタ 17番「テンペスト」の1楽章、3楽章を再チャンレジすることにした。家族が聴きたいと言ってくれたからと、自分が弾きたくなったから。技術的には、指を使ってしっかり音を鳴らす、建築物のように構成をよく考えて弾くことが大きな課題だ。音量豊かに出すには筋力が不足しているので私という演奏者にとってはハンデのある曲なので、それをどうやって補うか。音量にあまり固執せずに、音量以外でその曲や部分を特徴づける、たたみかけるように執拗な焦燥感、不安、雲を突き抜けたように感じる喜びなどを表現することにフォーカスしてみようと思う。それと今年ひとつ目標をつくるとしたら、美しい、耳を捉える音を少しでもいいので響かせられるようにしたいと思う。

さて。年末に振り返った時、どのような評価となるか?

2021年2月20日土曜日

咲く

サクラサク

携帯などなく、パソコンもメールもなく、電話もレアな時代、合格通知は「サクラサク」の電報だったと聞く。

今週、今風に「サクラサク」の嬉しいニュースをいただいた。DUOポッキーズの友人から、LINEで合格者の番号の下に佇む姿の写真が。文字はなくとも一目でわかる。東大大学院の博士課程に合格したんだ!おめでとうございます!

彼女は総合職制度が施行された一期生で、ずっと会社で、社会で、制度を牽引する立場としてひた走ってこられた。大手銀行に入社、会社派遣で欧州でも研修、国内勤務も、証券会社への出向、支店長経験もあり、傍からみれば絵に描いたようなエリート街道まっしぐらに見える。しかし思うところあり、早期退職、大学院へ。

初めてその話を聞いた時に、その決断に驚愕。英断と実行力に、ただただ、憧れのまなざしを向けるしかなかった。同じ世代の者として、自分に同じ位のキャリアとか、こう生きていきたいという想いや覚悟があるかと言われると、日々の暮らしに追われているともごもごこたえるしかない自分とは雲泥の差だ。

He who is no courageous enough to take risks will accomplish nothing in life. / Muhammad Ali

リスクをとる勇気がないなら、人生で何も達成できない。モハメド・アリ

私自身は何度か転職を考えながら、今の営業職の面白さに、結局継続している。だが、それは最善か。馴れてないか。変化を面倒に思っていないか。

友人の仕事ぶり、勉学の喜び、話をきくたびに、自分に問いただす。刺激をいただいてばかりだ。

家族の体調が悪く、妹が見舞いにきてくれた。おひさまのような菜の花をもって。もう少し。あともう少ししたら、春がくる。



2021年2月6日土曜日

Long time no see

寒さや、体調や、コロナ急増もあって、だいぶ早朝散歩をさぼっていたら、身体が重くなった。不味い。この土日から早朝散歩復活だ!

ダウンコート二枚重ね着して、暗い中歩き出す。公園についた頃には日は昇り、辺りはやわらな光が降り注ぐ。上空は風が早く流れ、反対側をみるとまだ天の高いところに小さな月が。Long time no see. お久しぶり。暫く散歩にきてなかったので、役目を終えて眠そうな月を久しぶりに見た。


友人からメール。若き日のツィメルマン、朝比奈隆指揮のショパン ピアノ協奏曲1番を観たと興奮気味な文面。ショパン・コンクールから3年目の映像だそう。私も彼がショパ・コンクールで文字通り彗星の如く耳目を集めた演奏、や青年らしい風貌、未だに昨日のように覚えている。YOUTUBE教えてもらったので久しぶりに週末にゆっくり聴こう。

今朝のBSテレ東の「音楽交差点」。ピアニストのイリーナ・メジューエワさんがゲストで、彼女が弾いたラフマニノフの前奏曲No.2「鐘」が秀逸だった。この曲は、私が中学時代好きで独学していた。あの頃、好きな曲を弾くということはできなくて、レッスンは、バッハ、モーツアルト、ベートーヴェンだった。ラジオで聞いて美しい曲に惹かれ、お小遣いの中からピアノピース1曲分の楽譜を買い、曲の美しさに酔いしれながら密かに弾いていた。

今朝のメジューエワさんの演奏で、曲としては「久しぶり」と好きな曲に再会した喜びを感じるだけが、彼女の演奏の、特にバスの音が豊かで、曲の構造が美しく際立つ演奏に、朝から目(耳)が覚めるような、幸せな時間となった。