色見えでうつろふものは世の中の人の心の花ぞありける 小野小町
人の心は見えずに変わっていく。と男女の恋愛を詠んでいると解説される句だが、恋愛に限定されるまでもなく、小野小町の時代から、或いは人の形ができてからの人の心の移ろいは普遍的なテーマ。
我が家のベランダの草木は流石にこの冬の寒さに花をつけないので、父に切り花を買ってくるしかないのだが、今月は父が好きな薄紅色の花で蕾は柔らかな薄緑のトルコ桔梗が長持ちしてくれた。少し遠いが、手ごろな値段でいきの良い花を商っている小さな花問屋まで買いにいった甲斐があった。
この1月は、家族の体調も悪く、私自身 仕事に急かれてついとげとげしくなりそうになった。でも、花があるだけで心持ちが少し変わる。蕾が一つ緩み、色が薄緑から仄かに白くなって。境目がわからないのになぜかいつの間にか花びらが薄紅に染まっていく。数日かけて見事な一人前の花になっている。日々水やりながら、自分も一緒に変化しているような気持ちに。人の心の花、日々変化して、悪くないゾと思う。
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