2020年5月23日土曜日

リラ冷え

大阪府近県も緊急事態宣言が解除され、残るは東京都と近県、及び北海道。

友人も出勤を始めたし、ロックダウンで外出も許可制だった客先のうち幾つかは工場稼動するようになった。経済活動が少しずつでも動きだすと漸く客先とのWEB会議も増えてきた。

季節ははや、入梅入り宣言の地域もでてきて、春を全身で体感する機会ないまま移り変わっていく。

近くの公園での早朝散歩で見つけたリラ。英名はライラック。仏名がリラ。和名は紫丁香花(ムラサキハシドイ)。ラフマニノフの小曲Op21-5「リラの花」を聴いて、どんな花か探して写真を見たことはあったが、実物を見た(認識した)のは初めて。

この花を、母は子供の頃よく近くに咲いていたと懐かしがる。私にはそういう近しさがない。しかしこの花には一方的な思い入れがある。

この花のイメージが私にとってはラフマニノフなのだ。彼の伝記を読んだ時、その時代という環境と、彼の思いから、ラフマニノフはアメリカに亡命せざるを得なかった。しかしそのつけは大きく、望郷の念で作曲ができなくなってしまう。実際彼は亡命後一曲も作っていないといわれる。最後まで故郷を思い起こさせるもの(鐘の音、リラの花など)に強く反応を示していた。この伝記に影響を受け、リラの花に私自身、ラフマニノフの曲を重ねあわせて、特別な感傷を抱くのだろう。

ここ2-3日、急に寒くなった。北海道ではこの時期の寒さの戻りを「リラ冷え」と表現する人もいるとのこと。榛谷美枝子氏がこれを季語に使った最初と。

リラ冷えや睡眠剤はまだ効きて 榛谷美枝子


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