ホールのピアノはShigeru Kawai。華やかで軽やかな打鍵に感じた。実力よりも良い音に響いた気がする。ただ、ホールの面積はピアノの音量に比して狭いからか、自分で聞こえる音がソフトペダルを通したようなのだが、実際には(人の演奏を聴いていると)ブリリアントな音が比較的でるようで、ギャップがあった。それを味方にできる人もいるのだろうが、私自身は頭でわかっていても身体は迷い調整があまりできなかったと思う。ただ、綺麗な音であることは確かで、その喜びは迷いながらも感じることができた。
Shigeru Kawaiは創業者河合小市がヤマハの第一号を一緒につくったあと独立しピアノ製造をはじめ、二代目滋氏が満を持して世に出したプレスティージ・モデル。一台一台素材にも手作りにもこだわり、またサポートも同一技術者が対応するという。素材へのこだわりとしては、響板への木材の選別もさることながら、アクション機構にはカーボンファイバー入りABS樹脂を採用。軽快なタッチとダイナミックレンジの拡大といった演奏家の希望をかなえるべく高剛性と軽量化を同時に狙ったという。ピアノは欧州のもの、長い歴史を尊ぶ、といった思い込みを吹き払う、「今」に合わせた新しいピアノなのだろう。
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