2023年4月23日日曜日

歓迎

一気に需要家の来日が増えた。

ここ暫く毎週必ず客との会議、会食、工場見学対応。コロナ前に戻ったというよりは、コロナでせきとめられていた分、堰を切ったかのようだ。季節も春で良い時期だし。日本をよく知る客は梅雨になる前に、そして自分が夏季休暇に入る前に狙いすまして4-5月に殺到する。

今は藤の花が綺麗だそうだから、工場見学のあとみられるところは?と聞く客も。桜の花には遅いが、日本らしい花をみたいらしい。

そういえば藤の花には「歓迎」という意味の花言葉もあるらしい。アポ調整が大変だが、わざわざ日本まで来て下さるのだから、歓迎、歓迎。

紫の富士の花をばさと分くる風ここちよき朝ぼらけかな 与謝野晶子

2023年4月16日日曜日

フランス音楽講座 弾き合い会 そして「陽はまた昇る」

昨年に続いて講座の年度締め括りの弾き合い会。

デュオポッキーズの友人が幹事を務めてくださって、今年はスタジオを借りてスタインウェイで行うことに。プログラムもフランス音楽、日本の作曲家がメインの興味深いプログラム。

このフランス音楽講座が、入野賞コンクールで内外の才能を発掘し日本の作曲家育成、発展に寄与された入野禮子先生の音楽研究所の一講座であることから、昨年亡くなられた入野先生にお聴かせしたいと、今回日本の作曲家の曲も積極的に取り入れた。

好きな曲をもちよって並べてみると、なんと一曲だに重複していない。先生の、そして受講生の多様性がほのみえるよう。。ドビュッシー、ラヴェルは勿論、バロックのラモーの曲も。日本でいえば中田喜直、山田耕作と誰もが小学生の時から名前をきいた作曲家から、入野義朗、入野禮子先生、矢代秋雄、信時潔といった不勉強な私は今まで聴いたことのない方々の曲まで、本当に刺激的だった。

私自身は湯山昭「三つの自由画」から1.きつつきの歌 2.貝がらのヨット 3.ラッシュ ラッシュ ラッシュ そして連弾はデュオポッキーズの友人と中田喜直の二曲。講座にもっていった時は「湯山先生はとにかくエネルギッシュ。そんなやわらかく弾かないで。」とのコメントをいただいた。また、矢代秋雄氏については、現代音楽が日本に急に取り込まれた時代に「音楽には歌がなければいけない」との思いをもたれていたことなども補足説明いただき、その頃の音楽界の雰囲気に少し触れられた気がした。もっと日本の作曲家についても知って、弾けるようになりたい。

弾き合い会の地、受講生から先生に日頃の感謝を込めてワインをサプライズ・プレゼント。会の幹事を快く引き受けていただいた友人が選んだワインは、ココワイナリーの「陽はまた昇る」。ココワイナリーは私の高校時代からの友人から教えてもらって知った。日本屈指のワイナリーだ。足利の地にこころみ学園が昭和44年に設立され、学園の関係者がワイナリーを昭和55年につくり、今年はワインづくり30年目になるそうだ。

フランス音楽講座も開設29年から30年目の節目に向かって。日本人作曲家をメインにした引き合い会で、現代日本作曲界を牽引されてきた方々を偲び、同じように日本という土壌で西洋の生きる糧であるワインを根付かせようとしたワイナリーの産物をプレゼントに選ばれた友人の心意気の素晴らしさ。


2020年ものかはわからないが、「陽はあた昇る」の写真。ココワイナリーさんのHPから借用。

2023年4月8日土曜日

風いで来りけり

というよりも、春の嵐が続いている。

激しい風に、雨に、気圧の変化も激しく体調崩している方も多いのでは。この時期、正直 鉄の心臓の自分はさておき、気候が家族の体調に与える影響は大きい。

出張、外出、出社が急に増え、コロナ下のように家族の健康を見守る時間がとれず心配な時間が増えた。コロナ収束の合図と共に経済活動は戻ってきているのだろう。在庫だの特殊要因を見誤らないようにしつつも方向としては良い方向。だがプライヴェートではメリット、デメリットあり、なかなか単一の評価には落ち着かない。

デュオポッキーズの友人と、連弾練習。フランス音楽講座の一年の総集編、弾き合い会目指してラストスパート。またスポコン練習と、その後地元でナポリ風ピッツアとワインで景気づけ。練習を重ねるごとに、お互いにやりたいことが増え、音の対話も増え、曲にストーリーができてくる。こうやって一緒に曲を仕上げていくというのは、とても楽しい。贅沢な時間だ。

友人宅に咲いていた小手毬をいただいた。

小でまりの花に風いで来りけり 久保田万太郎

2023年4月2日日曜日

季節は廻り 筍

もう4月。

こんなにきつかった年度末も数年振りだった。

仕事では3月の人事異動を受け業務がまた増え引継ぎを受けながらの期末対応をしつつ、コロナ対策収束を受け海外の客が待ってましたと来日し、急にリアル会議や会食が連日連夜。

プライヴェートでは不覚にも風邪をひいてしまい、花粉症とのダブルパンチ。多分WEB含め、会議ではしゃべっているのか、くしゃみしているのか、まわりの人には判じきれなかったろう。加えて出社したり外出したりテレワークしたりで、ほぼ毎日重いPCと資料を持ち歩いた結果、とうとう右手の小指のつきゆびと手首の捻じりをやってしまい、右手のピアノの練習はほぼ一か月できなかった。フランス音楽講座もピアノレッスンも全部キャンセル。

散々な3月が終わり、心機一転して4月を迎えたいもの。はぁ。

今朝一か月以上ぶりに恐る恐る早朝散歩にいったところ、なんといつの間にか桜も葉桜になりかけ。季節の移り変わりもみえていなかった。

そんな中で、唯一3月に春を感じたのは。筍を二本いただいていて、それを母に料理してもらった時。母も体調悪かった3月だが、その時だけは少し調子持ち直していて、歓声をあげて一緒に筍の香りを胸いっぱいかいだ(私はあまりわからなかったが・・・)。

一本目。まずは王道の筍ご飯。我が家のベランダ菜園の「山椒の葉」をこの時とばかり摘んで添える。旬の甘い香りと複雑なハーブのインパクトが、忘れられない一膳となる。

下の少しかたいであろう部分はさつま揚げと出汁でやさしい味のさっと煮。二本目は、茹でて。熱々をマヨネーズにつけていただく贅沢さ。根本の少しかたい部分だけはきんぴらに。旬の筍をいただくと思うだけで、待ちわびていた春がきたことを実感できる気がして、この頃から漸く体調が戻ってきたような気がする。

箸あげて筍飯とつぶやきぬ 加藤楸邨


わかるなぁ。この気持ち。こんな短い文字数で共感を呼び起こす文字の力に讃嘆。