寒暖差の激しさを乗り越えて。3月。
体調を崩した母は食欲がない。だが久しぶりの太陽の光に元気づけられたのか、「今日は雛祭りだから散らし寿司を食べましょう」と。
今日の陽の光のような橙色の人参。まだまだ美味しい象牙色の蓮。紅い色が美しい桜海老。上品な甘さの帆立も奮発して数粒入れて。菜の花畑のような錦糸卵の黄色と絹さやと三つ葉の緑を一面に飾って。蕪の葉の糠漬けをだしてきて細かに刻み白胡麻をふって添えた。
いただきます!頬張ると口いっぱいに春の香がする。私の食欲につられてか、母も珍しくしっかりと箸を運んでいる。美味しいと思えること。それは季節の贈り物だ。
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