2022年8月21日日曜日

フランス音楽講座 ドビュッシー「夜想曲」再び

先月は休んだので一か月ぶりの参加。

今回もまるでマルチプレーヤーによるコンサートのように多彩な曲目だった。面白かったのはオーケストラ曲のピアノ編曲版が多かったこと(その逆もあり)。グリーグのペールギュントから「オーゼの死」「山の魔王の宮殿にて」、ストラヴィンスキー火の鳥から「子守唄」、ワーグナー/リストで「イゾルデの愛の死」。聴いている方は、ただただ楽しい。参加しているだけで思いもかけない種類の曲が聴けて、まるでお祭りだ。

弾く方はオーケストラの各パートの弾き分けが難しいだろう。金管なら輝かしく、木管なら温かく時々ユーモラスに、弦は弦で主張するヴァイオリン、チェロに、寄り添うヴィオラ、支えるバス。

先生のご指摘や解説もライブ感高まり。

講座の狭い一室で、オペラの音楽堂で一晩過ごしたかのような心地よい疲れを感じ終わった。


ひかりある
そらはしずかに
ただひとつ
あさがおのさく

八木重吉


2022年8月13日土曜日

William Kapell ショパン マズルカ

このピアニストご存じだろうか。

私は全く知らなかった。今回CD全集をいただくまで。

アメリカ人で31歳で夭折したという。ネットで調べてみるといろいろな人がコメントを書いているが、大体含まれる形容詞は「天才」「比類ないテクニック」「峻厳」「美しい抒情性」「成熟」と言った、ピアニストならこう表現して欲しいだろう言葉が連なっている。

1枚目のショパン・マズルカ集を聴く。とても自然に耳に入ってくる。弾いてやるぞ、聴かせてやるぞちう力みが全くなく、自分の曲を弾いている感じ。

CDのプログラムノートを見ると、カペルは用意周到に準備するピアニストだったそうで、ただショパンのマズルカに対しては、譜読みしながらまわりの人に弾いてきかせるといった、音の自由を楽しんでいたそうだ。これは凄い。ポーランドの民族音楽が身体の中にしみこんでいる人でないと、この独特なリズムに泣かされる。意識しすぎてマズルカの型から入る人、意識しなさすぎてワルツになってしまう人もプロですら多い。まるで自分が作曲者のような即興性すら感じる演奏に驚き。

それでは、準備を重ねた曲はどんな風に弾くのだろう?これは一枚ずつゆっくりと楽しんで聴かせていただこう。


写真はCDの全集から(BMG社)借用

2022年8月11日木曜日

海景

今日は山の日の祝日だが、海景の話。

友人が今年も丹精込めて作ったじゃがいもを送ってきてくれた。中にはゴッホの絵葉書が添えられて。初めて見る絵だった。


「サント・マリー・ド・ラメールの海景」。

白波に、海は青かったり緑だったり、オパールのような色合いが美しい。丁度、まだ練習しているドビュッシーの「夜想曲」の冒頭のイメージにぴったりな情景だ。ピアノの近くの壁に貼って毎日眺めながら、どうやったらこんな風に光や影、色の変化を「自然に」表現できるのか考えている。

見ていると波音まで聞こえて涼しくなりそうなものだが、そこまでは流石に想像に身を任せられず酷暑は厳しい。

いただいたじゃがいもの方は。生のじゃがいもをそのまま嗅ぐと青臭い。地面からとってきたばかりなのが分かる。できるだけ手を加えずに味わいたい。2個は茹でて湯気ができているものに塩を振ってそのままいただく。バターを添えれば、それだけで幸せ。庭のローズマリーを切ってきてオリーブオイルで黄金色にカリッと焼けば、酷暑も乗り越えられそうな位、身体に英気が漲ってくる。有り難い夏の贈り物を堪能した。