フランス音楽講座にショパンのワルツ2曲で臨んだ。
舞踏系は苦手意識あるが、小曲で、技術的に時間が少なくともある程度に仕上げて講座にもっていけるように・・・と効率指向の選曲。
13番はショパンが若い頃の作品。まだパリに行く前、ポーランド時代の作曲だ。若さの溌剌とした勢いもあるが、(A)二声のメロディ、(B)舞踏のリズムが明確な華やかさ、(Trio)ヴァイオリンとチェロの二重奏曲、と言えるようなそれぞれ特徴的なワルツで構成されている。優美なメロディとめりはりの効いた場面転換を思わせる進行は、パリのサロンで十分に聴衆を魅了しただろう。
対照的に、19番はショパンが亡くなった後に発行された遺作。書かれた時期も晩年とされていて、素朴なポーランドの踊りらしいメロディが繰り返されるシンプルなつくりだ。あまりの簡明さ故か、華やかさが少ないせいか、弾かれる機会が他のワルツに比べて少ないように見受けられるが、このややぶっきらぼうとも言える素朴さは、晩年で修正する気力もなかったのか、はたまたこれが彼の脳裏を駆け巡っていた旋律で、複雑に書き直す意味を感じなかったのか。いづれいせよ、遺作という言葉がもつプライヴェートな感触を強く受ける。一度聴いたら忘れられない、つい口づさんでしまうメロディ。音域が非常に広く、舞台の端から端まで使った踊りのような、二次元ではなく空間を感じさせるつくり。13番と対比させるとやはり年月で培った巧みさが、意識せずに土台にされている感を受ける。
若書きの溌剌さも、晩年の、何か結集したかのような、凝縮したような簡明さも、共に心に残るショパンのワルツだ。
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