今月は中司麻希子さんのTetra Museeの「愛のピアノ/愛と哀しみと」、そして斉藤真美さんの「冬の小さなコンサート/ドビュッシー没後100年、作曲のインスピレーションを辿る」、二つのコンサートを聴いた。
Tetra Museeは今年で7回目。毎回テーマが変わる。今年は「愛と哀しみと」で昨年の「愛と歓びと」に対をなすもの。中司麻希子さんはグラナドスの「ゴイエスカス 恋するマホたち」を演奏。この曲はよくコンクールで聴いていたが、彼女の演奏は全く異なり、違う曲かと思ったほど。グラナドス=スペイン=熱情、激情 といった図式で弾く人が多いように思っていたが、彼女の透徹した音色が陰影を印象的に浮かび上がらせていた。「ゴイエスカス(ゴヤ風の)」は、ゴヤの絵に描かれるマハ(粋な男)とマハ(粋な女)の恋愛模様を表した曲。グラナドスはこの曲をオペラ化し、その初演で訪れたNYからの帰途、1916年3月24日にドイツの潜航艇による攻撃により沈没し亡くなった。
その二年後の2018年3月25日にドビュッシーが55歳で世を去った。斉藤真美さんは彼が作曲のインスピレーションを何から得ていたか、影響を与えた作曲家、詩、絵を紹介しながらのドビュッシーのコンサート。音楽も知ることで楽しみ方が増える。クラシック音楽もこのように聴かせる一方から、聴衆の好奇心を刺激する企画がもっと増えてもいいと思う。「冬の小さなコンサート」は今回で二回目。続きを期待している。
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