2018年2月25日日曜日

ショパン マズルカ Op.67-4 <エディションの違いを楽しむ  ショパン・オンライン>

知ることの喜び。

同じ作品でも数多くの版があるということを「フランス音楽講座」に参加するまで知らなかった。特にショパンは多いとのこと。まず生前時点で、複数の出版社ら出版していたので、フランス初版、ドイツ初版が存在する。それぞれに違いがあったり、出版社の書き込みもあったり。加えてその楽譜にショパン自身が弟子のレッスンで書き込みしたり訂正したり。その後に弟子や有名ピアニストによる校訂も出された。できるだけ作曲家の原典に近い内容で弾くことがクラッシック音楽の基本ということで、原典版として、エキエル版、ウィーン原典版、ヘンレ版が信頼性が高いと言われ、まずこの版の解釈から出発することが多い。

マズルカ67-4は版が多い曲のひとつである。私自身はヘンレ版で練習したが、Fontana版、1846年の手稿版、Ganche版、といった稿もある。この稿によって結構中身が違うのだ。ヘンレ版では特徴的な最初のメロティーはfからはじまり17行目のdolceまで強弱記号もテンポ記号もない。だから私自身は1回目はfからメロディーの高低が自然に落ちるに任せ、9小節目での2回目のメロティーは更にたっぷり歌いながらも落ちていく先はpに収束させた。しかしFontana版は1回目がmfからはじまり一小節でdim.し、ritしながらmarcatoで終わり、2回目はa temoで指示なし。Ganche版は1回目の終わりがfで終わる。こちら2つの版は1回目の終わりをマズルカのステップを力強く刻むが如くみえる。どちらで弾いてもそれぞれの味わいがあり、いろいろな版が今尚弾かれているのも頷ける。

専門的なことはわからないが、ショパンが書き入れた、ショパンがこう弾いた、ショパンの弟子がこう聞いた、と時や機会や気分により、より良いように修正し続けたショパンの姿勢の表れだと捉えれば、どうしてこの時はfから自然に落ちるに任せたのか、この時はぐっと踏み込むマズルカらしさを強調したかったのか、など想像を羽ばたかせるのが楽しい。コンクールに出る方にとってはその解釈自体も何故選んだのか論理的に考えなければならないのだろうが、ただただ、いろいろなエディションでその時のショパンの感情を推し量りつつ弾いて浸ってみられることは、知る楽しみの醍醐味だ。

手稿も含めエディションの違いを比較できるサイトを講座で教えていただいた。有難いサイトである。 
chopinonline.ac.uk




0 件のコメント:

コメントを投稿